2003.10.1

西 村 三千男 記

連載「ポコポコ・イタリアーノ」

 

第6回 イタリア旅行〜2001年初夏

 

 この連載の第3回に掲載したトスカーナ紀行(その2)の前編にあたる。

 

 

 

 

 

 

                          平成13年 6月17日

各 位 殿

                            アイソマーズ

                             西 村 三千男

 

                        トスカーナ紀行(その1)

 

 ヨーロッパ旅行のベストシーズンは5月後半である。5/17〜31の間、我が懐

かしのデュッセルドルフを拠点にして、イタリアのミラノとトスカーナ地方(フィレ

ンツェ、シエナ、キャンティ)を訪ねた。

 

1.メイフラワーのイタリア

 

  ・ミラノもトスカーナもイタリアは初夏の陽気。ウィークデーでも世界中からの

   観光客が街中に溢れていた。

  ・ミラノからフィレンツェまでイタリア国鉄の誇る特急電車で3時間弱。1等車

   の乗客は米国人が多い。

  ・日本人観光客は熟年の団体ツアーと若い女性グループが主であった(若い男性

   は新婚カップルにほぼ限られる)。

  ・イタリアは観光とファッションが重点産業なのであろう。以前にも増して外国

   人の観光とショッピングに手厚い配慮がなされている。

  ・付加価値税は内税表示ですっきり、旅行者の免税手続きを簡素化し、免税率を

   高くしている。税率は多分20%超だと想像するが、簡単な免税手続きで総額

   の12〜13%が還付されて、得した気分にさせる。

 

2.治安について

 

  ・イタリアの治安が見違えるほど良くなっていた。ミラノもフィレンツェも治安

   が気になる様なことは全く無かった。

  ・かねてよりイタリアの治安の悪さは評判である。ミラノ中央駅周辺には薬物の

   常習者が多いとか、フィレンツェにはジプシーの子供達によるヒッタクリが多

   発していると注意を呼びかけられていたが、今回の旅を通じてヒッタクリを目

   撃することもニアミスすることも無かった。だいたい、一人のジプシーも見か

   けなかった。

  ・ミラノのマルペンサ空港には悪質な雲助白タクがたむろしているとのことで、

   ホテルのリムジン出迎えを手配して置いた。到着時の雰囲気からは、そのよう

   な心配は無用と思われた。

  ・ホームレスの浮浪者も希には見かけたがデュッセルドルフや東京より少なく、

   街路の清掃もドイツや日本よりもきれいになっている。

  ・警戒のパトカーやお巡りさんがやけに増強されているなと感じた。このところ

   の国か自治体の行政努力が実っているのかも知れない。

 

3.マルクとリラとユーロ

 

  ・あの「強いマルク」と「弱いリラ」が「ユーロ」に統一された。未だ実際には

   ユーロは発行されておらず、リンクした個々の通貨であるマルク、リラが使わ

   れているが、円に換算した物価はドイツ、イタリア共に安いと実感した。

  ・つい先年まで、リラ紙幣は国外では再両替出来ないのでイタリア国内で使い切

   るようにしていたが、いまやユーロを通してマルクとリンクしていて勿論再両

   替も可能である。

  ・来年2月にいよいよ統一通貨ユーロが発行され短い期間で切り替え完了を目指

   すそうである。

 

4.フィレンツェ

 

  ・街中に人、人、人のうねり。ウィークデーなのにドゥオモウフィッツイ美術

は入場制限の行列が長い。サン・ジョヴァンニ洗礼堂の門扉の前やポンテ・

   ベッキオの周辺はさしずめ池袋駅のラッシュアワーの如き混雑であった。

  ・フィレンツェは街全体がアートミュージアムでもある。人気が高くて混雑する

   スポットを避ければよい。それほど混んではいない修理中のメディチ家礼拝堂

サンタ・クローチェ教会、アルノ川左岸のピッティ宮殿パラティナ画廊

   どはそのどれもが圧倒的な質と量のルネッサンス美術の宝庫になっている。

  ・今回、特に治安を気にして五つ星ホテルばかりを選定したが、ホテル内にある

   骨董家具類、フレスコ画、ステインドグラス、タピストリーなどもそのどれも

   が博物館レベルにあるそうだ。

  ・街中の商店がいわゆる観光土産ショップではなく、それぞれに格調高い専門店

   である。特に皮革製品の専門店が多い。家内が「刺繍の布と糸」の卸問屋の様

   な専門店を見つけ、その格調の高さに感動してお買い物のついでに店内を写真

   撮影させて貰った。

  ・イタリアはどの街もそうであるが、石造りの街で道路が狭く、一方通行であち

   こち迂回させられる。旅行者がレンタカーでこの街をドライブするのは至難の

   業であろう。

  ・マイクロバスの路線バスが縦横にネットワークされていて、これを使いこなせ

   れば効率的に、しかも安上がりに市内観光出来るだろう。

 

5.サバチーニ・フィレンツェ本店

 

  ・銀座ソニービルのサバチーニがフィレンツェの本店を誇りにしている。(因み

   に、横浜そごうのサバチーニはローマ本店系)。

    ・JTBなどのガイドブックにも掲載されているので、多分日本人客が多かろう

   と想像しながら行ってみた。案の定、日本人客が約80%、注文を取るカメリ

   エレは日本語ペラペラで、当方が英語で話しかけても片言のイタリア語で話し

   かけても彼は流暢な日本語で応対してくる。

  ・テーブルとテーブルの間隔が狭すぎて、隣席の日本語が聞こえてしまう。また

   照明が日本のレストランの様に明る過ぎて、隣席の客の表情が見えてしまう。

   これがイタリア人客が行かない理由の一つかも知れない。

  ・それよりも何よりも、肝心のお料理のレベルが今回のイタリア旅行で経験した

   中の最低にランクされるものであった。

 

6.シエナ

 

  ・フィレンツェに水木金土4連泊を希望したが、週末は適当なホテルを確保出来

   なかった。そこで、路線高速バスで約1時間の距離にある古都シエナへ移動し

   た。これは、結果として大変満足すべきチョイスであった。

  ・そして、エージェントの勧めで、市内ではなく丘陵の上のリゾートホテルであ

   る Park Hotel Siena を選んだことも大正解であった。

  ・土曜日のディナーをホテルのリストランテでとった。朝食時や昼間はリゾート

   的な服装であった宿泊客が盛装して集って来た。また宿泊客以外の地元の人々

   もオシャレをして食事に来ている様であった。

    ・シエナの街は徒歩で観光できる規模。ホテルからタクシーで世界中の人々から

   愛されていると云う有名なカンポ広場まで行き、あとは歩いて各スポットを訪

   ねる。疲れたらカンポ広場へ戻って居並ぶカフェ・テラスやリストランテで飲

   み物や食事で休む。これが昼間も夕食時もなかなかに素敵なムードではある。

  ・マンジャの塔カンポ広場の目の前にある。直ぐ近くにあるドゥオモは外装も

   豪華であるが、内部の柱が黒白の大理石を交互に積み重ねた縞模様になってい

   て特徴的である。

 

7.キャンティのワイナリー探訪

 

    ・シエナの街は小さいので1日で堪能出来る。もう1日をどう過ごすかのプラン

   をホテルのコンシェルジェと相談した。

  ・ショウファー付きの車をハイヤーしてピサの斜塔を往復すれば80万リラ、近

   隣のワイナリーを試飲付き、昼食付きで訪ねる半日コースが50万リラ、特に

   コンシェルジェのお奨めがワインセラーでのワイン試飲は付いて、昼食は別途

   のワイナリー4時間コースが30万リラ。ただしこれは節税のため領収書が出

   せないと云う。多分、モグリの業者によるもの。

  ・当日は偶々家内の60歳誕生日であった。もとより領収書は要らないので、お

   奨めの節税コースを還暦プレゼントに選んだ。胡散臭いショウファーを覚悟し

   ていたが、英語が上手くて、教養もある好人物であった。この仕事を週に4回

   程度繰り返しているとのことで、ワイナリーの人々とも友達関係にあった。さ

   しずめ脱税常習者と云ったところかな。

  ・トスカーナは世界でも有数のワイン産地である。なだらかな丘の斜面は、一面

   見渡す限り白っぽいオリーブ畑と背の低いブドウ畑である。

  ・所々に糸杉が群生している。一部は道路の並木になっているが、畑の中にある

   糸杉は何の目的で植えられたものか不明であった。

  ・道路は舗装されていなくて凸凹もあり、セダンでドライブするのは困難でワゴ

   ン車かジープが必要だ。

  ・ワイナリーでは、まずウエルカムドリンクとして1種類、ワインの神様の前で

   1種類、ワインセラーで3種類、そしてリストランテで3種類、合計8種類の

   赤ワインをテイスティングさせてくれた。自家製ワインの即売もしていて、ア

   メリカへは宅配できるが、日本へはシステム化されていないとのことであった。

   これで些少のチップを支払っただけであるが、ホテルに支払った30万リラの

   一部がワイナリーへわたるのかしら。

  ・丘陵の所々に小さくて気の利いたリストランテが散在する。観光客も地元客も

   相乗りだから一層安心ではある。帰路、そんなリストランテの一つで遅めのラ

   ンチをエンジョイした。

 

8.長期滞在を想像すると。

 

  ・フィレンツェに長期に滞在することを想像してみる。

  ・先ず、どこに住むかが大問題となる。混雑する観光都市のセンターに住むこと

   が出来るだろうか?喧噪を避けて郊外に住むにはレンタカーの運転が要りそう

   であるが、イタリアで運転する勇気が私には無い。路線バスのネットワークの

   中であって、比較的静かな場所の住まいを見付けるべきであろう。

  ・今回は観光シーズンの真っ盛りだった。オフシーズンの様子も調べてみたい。

 

蛇足:

 

9.ミラノがだんだん良くなっている。

 

  ・欧州駐在員であった1960年代後半にはミラノへ頻繁に出張していた。その

   後も出張で時折訪ねる機会があった。

  ・一番最近では1995年に長男の結婚式旅行の際に、マルペンサ空港から入国

   してミラノとコモ湖を旅行した。

  ・「食事が美味しくて、人懐っこくて、陽気な反面、道路はゴミだらけ、交通マ

   ナーが悪く、いい加減で、治安にも不安がある.」と云うのが私のイタリアに

   対する先入観念であった。

  ・このイメージは修正を要する様である。前回、1995年の時も感じたのであ

   るが、観光立国を目指すイタリアは変身しつつあるのか、治安も清掃もだんだ

   ん良くなって、今やドイツや日本を凌駕してきた。

  ・お買い物もし易くなった。至る所に免税ショップがあって、免税手続きも容易

   化されている。さらに感心したのはミラノ、ローマ、フィレンツェなどの都市

   に限定されるが、市内から免税品を日本宛に発送すると同時に税金を還付する

   サービスまで準備されていた。

  ・サン・ビバラ広場で洗練されたショーウインドウのディスプレーに惹かれて、

   メンズショップに飛び込みで入った。盛夏用ジャッケトを買うつもりが、店員

   が優秀なのと在庫が豊富なこと、寸法直しもその日に出来ることなどから、短

   時間の内に夏物シャツや冬物カシミヤコートなど沢山まとめ買いした。良い買

   い物が出来たと大満足である。

 

10.NHK人間講座「地中海都市のライフスタイル」

 

  ・NHK教育TVで首記が6〜7月進行中。偶々今週が「シエナ」であった。

 

                                  以上