2004.10.22

西 村 三千男 記

続「ポコポコ・イタリアーノ」

 

第10回 イタリアの国鉄

 

 狭い範囲に多くの国々が隣り合うヨーロッパでは、航空機よりも鉄道の旅の方が趣

きがある。鉄道旅行の人気には様々な理由がある。車窓風景を楽しむため、気儘に途

中下車するため、安全のため、旅費を節減するため等々である。こうした観光客向け

に「ユーレイルパス」や「トレンイタリアパス」のように種々の周遊キップが売られ

ている。トーマス・クックが年に数回出版する日本語版ヨーロッパ鉄道時刻表から詳

しい情報が得られる。この時刻表は読み物としてもなかなか秀逸であり旅行を計画中

も、そうでない時にも買い求めている。

 

ヨーロッパ鉄道の超特急と云えば、先ずフランスのTGV、次いでドイツのICE

が挙げられる。イタリアにも超特急に対応した高速列車 ES (ES star)がある。超特

急とは云っても、日本の新幹線とは異なり在来線と同じレールの上を走るのである。

但し、車両は時速250〜300qの高速設計となっている。フェラリのデザイナー

が設計したとかで、外観も内装もユニークである。1等車には茶菓のワゴンサービス

もある。

 

イタリアの国鉄はFSと呼ぶ。ホテルやリストランテの様なサービス業では独特の

行き届いた気配りをするイタリア人だが国鉄だけは別らしい。民営化以前の日本国有

鉄道職員の様な怠惰な従業員達がすこぶるイタリア的ではない(劣悪な)サービスを

提供してくれる。

 

先ず、ミラノ中央駅やローマテルミニ駅の様なターミナル駅では全ての列車は折返

し運転、始発となるのに、長距離特急列車である IC (Inter City) や 前述の ES

さえも車内清掃はしない。1等車の各座席に付いているゴミ入れには当然のようにゴ

ミが入ったままである。これ等の車内清掃は何時やるのだろうか?駅構内の線路内も

ゴミが散乱しているが清掃しない。

 

鉄道の着発の時刻がルーズである。1時間くらいの遅延は珍しくもなく、また遅延

の表示やアナウンスも励行されない。駅の時刻表に予め表示されている着発のプラッ

トホームも時々変更されるが、駅員が平然としていて外人旅行者は困惑する。

 

 指定席に乗る場合、自分の乗る号車番号がプラットホームのどの辺に停車するのか

を知るのが困難である。日本では普通になされている号車番号表示はまず無いし、駅

員に聞いても要領を得ないことが多い。それから、IC と ES とで号車番号を付ける

順番が正反対となっている。結局乗り込んでから車内を所定の席までスーツケースを

引いて移動する羽目となる。

 

ミラノ駅の指定券購入窓口は夙に悪名高い。列に並んで、運が悪ければ2時間でも

待つ覚悟が必要である。他の駅でも待たされるが、ミラノ中央駅は特に酷いと有名で

ある。今回5月某日、夕食前の一仕事として翌日のヴェローナ行き指定券購入に出か

けた。窓口は2つ開いていて、夫々に10名位の先客が並んでいた。何故かは分から

なかったが先客の一人一人に随分と時間がかかった。どちらの列も大同小異で結局自

分の順番が来るのに2時間以上かかった。この間、待ち切れなくて並ぶのを断念する

人が一人も居なかったのも驚異であった。皆2時間待ちを覚悟の行列なのだ。

 

ES註:別名「イーエス・スター」または「EURO STAR Italia」とも呼ばれ、

      London 〜 Paris 〜 Brussels 間の「ユーロスター」とは区別される。

      2つの「ユーロスター」の本家争いの顛末は次回。

 

                             (以下次回)