2004.6.24

西 村 三千男 記

続「ポコポコ・イタリアーノ」

 

第4回 ミラノ・マルペンサ空港

 

ミラノの空の玄関は今日ではマルペンサ空港が主である。これをコジツケ読みする

と「悪い(mal)・考え(pensa)空港」となる。市のセンターから時間距離

にして約1時間(約50km)離れている。もっと近い(約10km)リナーテ空港

は補助的に使われている。

 

今から約40年前はこれが全く逆で、リナーテ空港が主でマルペンサ空港が補助的

であった。冬場のミラノ名物である濃霧のためリナーテ空港が閉鎖されて急きょマル

ペンサ空港に振替えらた経験は幾度もあるが、そんな時イタリア人は「それは悪い・

考え」だなどダジャレを言いあっていたのを思い出す。

 

 ミラノのマルペンサ空港とリナーテ空港の関係は成田空港と羽田空港のイメージに

似ている。増大する航空需要に手狭なリナーテ空港では対応し切れなくて、都の西北

郊外のマルペンサ空港を拡充してきた。その途中、短期間ではあったが現在の東京の

ように国際便はマルペンサ、国内便はリナーテと区分していた時期もあった。今は国

内便も概ねマルペンサに統合して乗り継ぎを便利にしている。

 

成田空港の場合もそうであるが、空港が遠いとタクシーでは料金が高過ぎるので所

要時間と料金とを勘案してアクセスを工夫することになる。治安の点で悪名高いイタ

リアではそれも考慮すべき大切な要素である。タクシー乗場に雲助のような白タクが

いる、バスセンターにはポーターを装った置き引きが出没する、または白昼ジプシー

の子供グループに囲まれて金品を強奪されるなどの情報が喧伝されてきた。イタリア

はミレニアムを機に、国策として国全体の治安改善に努め、格段に良くなったと云わ

れている今日でも空港や中央駅東側のバスターミナルには変なオジサンが荷物カート

の空車を押してウロウロしている。

 

 1995年4月の時は深く考えずに無造作にタクシーを採用した。乗ってから遠い

な、高いな、信用していいの?と不安がつのったけれど結果はオーライであった。こ

の経験を踏まえて2001年5月の時は予めホテルにリムジンでの出迎えを頼んで置

いた。すこぶる安心ではあったが、当然割高であった。安価で一般的なアクセス方法

には新顔のマルペンサエクスプレス(電車)と旧来のシャトルバスとがある。

 

 マルペンサエクスプレス(電車)は1999年から供用された。中央駅よりも市の

センターに近いカドルナ駅(ノルド駅とも云う)から発着する。運営もイタリア国鉄

FSではなく別経営らしい。タクシーでプラットホームの直近約10メートルまで乗

りつけられるのは荷物の多い時には殊に便利である。30分間隔で1時間に2往復、

乗車時間は40分である。オール1等の自由席で、片道均一料金は9ユーロである。

バスに比べると一般的にはレールは定時性に優れていて信頼感がある。今回2004

年5月の出国時にはホテルコンシェルジェの勧めもあってマルペンサエクスプレスに

初乗りした。ところが何と予定の電車の発車が40分も遅延したのであった。空港行

の電車が40分遅れるのは「事件」だと思ったけれど、さらりとイタリア語のアナウ

ンスがなされただけ、乗客が大騒ぎしていても車掌が説明に来ることも無く、乗客も

大騒ぎを楽しんでいる風情であった。私達は昨今の空港はセキュリティチェックに手

間取ることなども考慮して充分な余裕を持っていたので心配無用であった。

 

 マルペンサシャトルバスは1995年4月の出国時に初めて体験して以来今回まで

繰り返し利用している。中央駅東側のバスターミナルでは変なオジサンは断固として

無視して自分でイシダタミの上をスーツケースを引いて正規のタクシー乗場までたど

り着くのが正解らしい。慣れるとホテル近傍のバス停からでも乗降出来る。面白いと

思ったのは、2つのバス会社が同じ路線を交互運行しているのに片道料金が異なるこ

とである。A社は5.5ユーロ、B社は4.5ユーロで更にグループ割引まである。

当然後者から満席になる。いずれにせよ安価であるから旅行者は空いている方のA社

を選ぶのが賢明かもしれない。

 

 イタリアの交通料金は国鉄、地下鉄、バス等を含めヨーロッパ内の比較でも格安で

ある。チープカントリーと呼ばれて何でも割安感のあるオランダよりももっと安い。

それにひきかえ我が東京〜成田の場合、距離的には少しだけ遠いが、東京都心からの

空港バス料金3000円、成田エクスプレス料金(グリーン)5150円はミラノの約

5倍とベラボウに高価である。

 

                              (以下次回)