2004.9.27

西 村 三千男 記

JRリニア実験線試乗記

 

縁あって、過日(2004.9.24)JR総研/JR東海の山梨リニア実験線を見学

し、時速500Kmに試乗した。JR総研・浮上式鉄道開発本部から計画部長の奥村さんが

同行案内して下さった。「百聞は一見(一体験)に如かず」と云うが、まさにその様な一日

であった。

 

実験線の所在場所と規模

 

中央本線大月駅からタクシーか富士急行でかなり入ったところ。

 

総延長18.4Km(トンネル区間16.0Km、明かり区間2.4Km)。

複線。

勾配区間とカーブを含む。

 

JRのリニア研究の歴史

 

1960年代から着手し、長年にわたり世界の最先端を維持している。液体ヘリウム冷

却による超電導磁気浮上方式。1977年に宮崎実験センター開設、故金丸信氏の肝煎り

で中央新幹線計画と絡めて1996年に山梨リニア実験線を開設し、1999年には5両

編成(有人走行)時速550Kmを達成。これまでに要素技術の開発をほぼ終了。現在では

コストダウンと耐久性向上にエンドレスの挑戦を続けている。

 

加速度、振動と騒音、カーブと勾配

 

スタート、ストップの低速時はタイヤ走行である。時速130Km以上で磁気浮上走行に

切り替わる。短時間に時速500Kmまで加速するが人体に加速度を感じさせない。

 

振動問題は技術の改善進歩で克服された。騒音は私の漠然たる予想を超えて騒々しかっ

た。騒音源は車内の照明や空調の電源として仮に搭載しているガスターボ発電機である。

非接触で車内へ電力を供給する誘導集電装置が開発され、防音構造も解決途上とのこと。

 

超高速の為にカーブは苦手で最小のRを8Km(殆んど直線)としている。浮上式リニア

は原理的にも急勾配に強い。このことは大深度地下線から地上への出入りアクセスが短く

出来るメリットとなるだろう。

 

消費エネルギー

 

エネルギーは速度の2乗に比例するから、速度が現行新幹線の2倍ならエネルギーは4

倍になるところ、リニアの効率が優れているので3倍程度となる。消費エネルギーは大雑

把には「リニアは現行新幹線の3倍、航空機の半分」と考えてられている。

 

商業化計画

 

リニア中央新幹線の基本構想は東京から甲府市付近、名古屋市付近、奈良市付近を経て

大阪に到るコースである。輸送能力の基本計画は、1車両約70人、14両編成で1千人

1時間10本で1万人、1日、1方向で10万人。東海道新幹線と並走させ太平洋ベルト

地帯の輸送能力アップと災害時や大規模メンテナンス時に相互にバックアップ機能とが主

な目的である。投資金額が7〜9兆円と巨額になると試算されていることもあって、最近

は話題にも上らない。

 

 見学試乗会の後の懇親会で耳よりな話を聞いた。東京〜成田空港を大深度地下リニア線

で結べば時間距離が15分に短縮される。地上から大深度地下プラットホームへ昇降する

時間とリニア乗車時間がほぼ同じとなる。投資金額は1兆円と試算されている。これには

一部の政治家と官僚が強い関心を示しているそうだ。

 

日航HSST、地下鉄リニアと比べて

 

リニアの話題はJR以外にも上海リニア、日航HSST,ドイツのトランスラピッド、

地下鉄リニア等々賑やかである。これらの情報はインターネットから容易に得られるので

ここでは深入りしないでおく。日航HSSTは常電導吸引式磁気浮上方式でJRの超電導

反撥式とは全く方式が異なる。上海リニアはドイツのトランスラピッド社から技術導入し

たもので日航方式と同じ。愛知万博の話題のリニモも同じらしい。

 

 各地で実用化されている地下鉄リニアは、駆動にリニアモータを使うが、浮上せず、車

輪走行である。高速走行は目的ではなくモータ部分の省スペースが地下鉄に適している。

全く別の話である。

 

(おわり)