2004.7.27

                           西 村 三千男 記

 

書評・『カタツムリがおしえてくれる』ダイイヤモンド社(2004.4月刊)

 

著者:赤池学(ジャーナリスト・技術評論家)

   金谷年展(慶応大助教授・技術評論家)

副題:ネイチャーテック

   INAX〈発〉のモノづくり革命 

価格:1600円+税

 

石田秀輝氏が率いるINAXのR&Dが主題。ハイテクでもなく、ローテクでもなく

自然に学び、環境を最重視するネイチャーテックであると主張する。

本書の評判を聞いていて購読を考えた矢先の5月に石田氏から贈本宅配されて一気に

読んだ。石田氏は西村よりも20歳ほど若い永年の畏友でもある。

副題の「カタツムリ・・・」は奇抜さで読者の関心を惹く。

カタツムリのカラが汚れないのは何故か?を研究して、その成果を防汚タイルや便器

の汚染防止に役立てるのである。R&D経営の理念を現業で実践しているのは見事。

石田氏は9月から東北大環境科学研究科教授に転任のため、6月INAXの取締役を

退任された。

 

多彩な講演活動や内外の学会賞受賞でマルチに活躍されていて勝れて著名人であるが、

インターネットでは出てこないようなエピソードを幾つか紹介しよう。

 

エピソード1:

本文中にある「ソイルセラミックス」(焼かないセラミックス)を開発した。それを

石田氏は自宅の内装材に使って、実用性能をモニターしている。

 

エピソード2:

 西村は約10年前の現役時代にさる業界誌から巻頭言の執筆を頼まれた際に、石田氏

 に予め了解を得て「ソイルセラミックス」と石田邸のモニターデータを記述した。

 

エピソード3:

 数年前、石田氏から「INAXの役員へ新任を推薦されている。受諾すれば自由度を

制限されそうだがどうしよう?」 と相談を持ちかけられた。

西村は「何時でも辞めたい時に辞められるのだから受諾したら」と即答。

 その後、石田氏は「現在多忙の責任の一部は西村さんにもある」と言う。

 

エピソード4:

 「ソイルセラミックス」近傍の技術でアンコールワット遺跡の修復の実地の技術指導

 もされている。

 

エピソード5:

 沖永良部島に別荘を竣工した。「何故1回のアシ代が8万円かかる沖永良部島か?」と

 尋ねれば、「ヘビが居ない唯一の南の島だから」と明快。

 はるばる訪問することは軽い約束となっているが何時具体化するかな?

 

                                  以上