中国世界遺産の旅(5) 都江堰(とこうえん)   6月20日 伊藤一男
 
 中国各地の世界遺産を訪ねていつも感動するのは、いにしえの中国人の知恵と為政
者の実行力ですが、何よりも驚かされるのはそのスケールの大きさです。
 
 成都の北西約55kmにある都江堰もその一つです。岷江(びんこう)が成都平野にさ
しかかる地点に造られた中国最古の大型水利施設で、その規模の大きさは万里の長城
に匹敵するといわれています。
 
 岷江は長江へ合流する支流といってもかなり大きな河で、昔から増水期には氾濫し、
逆に渇水期は農地が干上がるという悪循環が繰返され、農業発展の障害となっていた
そうです。この岷江の流れを治め、洪水と旱魃から人々を守るために、蜀の国の郡守
だった李親子は、岷江の流れの真ん中に人工の中洲を築いて河の流れを二つに分け、
水量を調節できる堰を設けたのです。
 
 山の岩の上で火を焚き、水をぶっかけて岩を砕くという方法で石ころを集め、それ
を竹で編んだ篭に入れていくつも積み上げるという原始的な方法で中洲と堰を造った
といいますが、その努力と根気はすさまじいばかりです。百年を超える大事業だった
そうですが、着工が紀元前260年頃、秦の始皇帝の頃といいますから驚きです。
 
 写真をご覧下さい。今でこそコンクリートで補強されていますが、当時の原型がほ
ぼ忠実に残され、現在でも流水の調節が行われています。
                                 以上