2005.1.17

西 村 三千男 記

連載「賢材研究会/KEN-Materials Research Consortium」

 

第1回 賢材とは?

 

多分アイソマーズの誰方もご存じないと思うけれど、「賢材研究会」を名のる研究コン

ソーシアムがある。1994年2月の設立総会から10年が経過した。昨年12月16日

に10周年記念行事として、学術交流会を清水建設(株)技術研究所(越中島)で、祝賀

パーティーをパレスホテルで開催した。

 

パーティーの席上で唐突に(予告無しに)、3名の会員が云わば功績賞で表彰された。

次代を担う若手で構成した「10周年記念会実行委員会」が密かに選考、準備していたよ

うだ。賞の名称は「賢」から派生した「圏賞」、「検賞」、「健賞」であった。「圏賞」

は清水建設の子会社で数値解析を本業とする(株)大崎総合研究所・社長の杉田稔氏に、

「検賞」は(財)ファインセラミックスセンター(JFCC)主任研究員の奥原芳樹氏に、

「健賞」はOBで運営幹事会フェローの私、西村三千男に授与された。

 

 取り敢えず「賢材」のコンセプトを短く紹介しよう。提唱者は東大名誉教授で、名古屋

工業大学前学長、セラミックスの泰斗である柳田博明先生である。先生が各所の著述や講

演で情報発信されているので、Web 検索でかなりの情報を得られる。

 

「賢材」のコンセプトはいわゆる「インテリジェント材料」、「スマート材料」に近い

けれど全く同一ではない。両者ともに「自己診断」、「自己制御」、「自己修復」の機能

をもっているが、「賢材」はそれらの機能を実現するのに「センサー、CPU、アクチュ

エーター」に頼らないところが異なっている。先生は「究極の賢材」として正倉院の「校

倉づくり」に使われている木材を挙げる。湿度が高い時には木の部材が膨張して隙間を塞

ぎ、湿度が下がると収縮して隙間が生じて外気を取り込むようになっている。しかも、セ

ンサー、CPU、アクチュエーター無しである。さらに、もし廃材になれば自然環境の中

で自動的にリサイクルされるのである。

 

 その後、「賢」と同じく「ケン」と音読みする「建」「健」「圏」「倹」「検」「兼」

をコンセプト表現の補助的キーワードに採用した。言葉遊びか単純な語呂合わせのように

響くが、夫々の漢字のもつ意味をじっくりと味わうと「賢材」を含めた7個の「ケン」が

相互に通底しているのを感じ取れる。

 

 さらに、海外へも発信するには「賢材」の英語呼称をどうするかが問題になった。種々

の案が考えられたが、柳田先生が「KEN-Materials」を使おうと決断された。

 

研究開発に成功したスグレモノの事例は次々回以降に紹介する。

 

                       (以下次回)