2005.4.

西 村 三千男 記

連載「賢材研究会/KEN-Materials Research Consortium」

 

第4回 「コンソーシアム生まれの賢材第0号」

 

 賢材研究会から生まれた「賢材第0号」はCFGFRPである。実は、これは賢材研究

会が発足する前から東大・柳田研究室と清水建設(株)、同じく東大・柳田研究室と綜合

警備保障(株)の間で研究開発されていた。CFGFRPは、そもそも賢材研究会が誕生

するキッカケとなった因縁のマテリアルである。「賢材第1号」ではなく「賢材第0号」

と敢えて書く所以である。

 

「賢材第0号」CFGFRPは特別に開発されたFRPである。フィラーFが炭素繊維

CFとガラス繊維GFの混紡からなっている。両方のフィラーともに強度発現に寄与する

が、FRPに荷重をかけて歪を生ずる際に、炭素繊維の方が先に損傷し、靭性を有するガ

ラス繊維はさらに持ちこたえる。一方、炭素繊維はFRPに導電性を付与しているが、歪

の過程で炭素繊維が損傷して材料の導電性が変化する。荷重を取り除けば、歪も導電性も

或る値へ復元する。繰り返し荷重を加えると材料特有のヒステレシス曲線を描くことにな

る。導電性を測定することにより材料がこれまでに受けた累積歪の程度を診断できる。

 

清水建設では、これを鉄筋コンクリートの高層ビル「要部」にセンサーを兼ねる補助鉄

筋として配筋する技術を実用化している。「要部」とは老朽化や地震振動で損傷を受けや

すい場所のことである。将来、損傷の程度を知りたい時にだけ該当部の導電性をモニター

することで診断出来る。

 

綜合警備保障ではこれを銀行支店の大金庫の壁材に実用化した。金庫破りの盗賊がこの

壁を壊しに取りかかったら、先ず電気警報が作動し、その後も盗賊はGFの靭性にテコズ

ルうちにガードマンが駆けつける寸法だ。

 

(以下次回)