2005.4.1

西 村 三千男 記

連載「賢材研究会/KEN-Materials Research Consortium」

 

第5回 電気化学の賢材〜その1

 

1995年1月の阪神・淡路大震災で被災し不通となった東海道新幹線の京都〜新大阪間

は僅か数日後に復旧開通したのをご記憶だろうか。

 

実は、その復旧工事用資材として「電気化学の賢材」の活躍があった。しかも、その資材

は品川車両基地で新幹線「ひかり号」に積込み京都駅へ緊急搬送された。数10トンの土建

工事用材料が「ひかり号」に積載されるのは異例中の異例のことであった。それ程に緊急事

態であったし、電気化学が供給した資材は「それ程かけ替えのない材料」であったことをも

意味している。

 

 その資材は震災直後の極限状態で、即座に材料指定を受け、高架橋脚の補修に有効活用さ

れ、復旧工事期間の短縮に貢献出来た。これは、工法を決めて発注するJR東海および受注

するゼネコンのそれぞれの技術担当から施工実績を認められていたからであった。後日、J

R東海からは感謝状とガラスケース入りの新幹線模型の1編成を贈られ、今でも役員会議室

の一つに飾られている。

 

 資材の名称は「デンカ・ハイプレタスコン」であった。電気化学に特殊混和材という事業

部門があり、無機系のセメント添加剤をシリーズで開発している。この分野では世界のパイ

オニアである。「タスコン」は無機系グラウト材料シリーズの名称であり、「ハイ」は早強

性を意味し、緊急工事用である。「プレ」はプレミックスを意味し、セメント、砂利、減水

剤等を配合済みのもので、施工現場で加水するだけで直ぐに使えるものである。グラウト材

とは無収縮モルタルで機械基礎、アンカーボルトの固定、橋梁シューや原子炉の炉体の様な

大型固定にも使われる。

 

 その後、新大阪以西の新幹線やJR在来線の復旧には「タスコン」シリーズの別グレード

も大量に採用された。

 

ここに紹介したのは、ドサクサで儲けた話ではなく、材料メーカー冥利に尽きる社会貢献

の話であったことを書き添えよう。

 

(以下次回)