2005.11.27

西 村 三千男 記

連載「ドイツ化学史の旅のこぼれ話」

 

第17回 ボローニャで藤牧さんご夫妻と「奇遇」

 

 奇遇という言葉がある。ミュンヘンでグループを解散した後の個別旅の中、ボローニャ

のマッジョーレ広場で藤牧さんご夫妻と偶然、再会した。別れて数日後の再会であるが、

それはまさに奇遇であった。

 

化学史の旅のコア部分は6月10日(金)で終了し、それ以降はそれぞれが思い思いの

スケジュールを組んでいた。私たち夫婦は、ミュンヘンにもう1日滞在して、美しい市内

をゆるりと観光してからイタリアに向った。

 

HPに掲載中の拙文「ボローニャ空港がおすすめ?」で予告した通り、ボローニャ空港

経由でイタリア入りして Bologna/Ferrara/Modena を訪ねた。そのイタリア紀行はこの連

載の枠外であるから別途ご報告としよう。11日(土)午後、ボローニャで定宿にしている

ホテルで旅装を解いてマッジョーレ広場へ出た。そこで藤牧さんご夫妻がお友達と写真撮

影をお楽しみ中であった。お友達は三井物産の元同僚の家族であると紹介された。私たち

がボローニャへ行くことは予定の行動であったが、藤牧さんご夫妻は英国へ向われたのだ

とばかり思い込んでいたので、この奇遇には少なからずびっくりした。

 

 この日、私たちのフライトはミュンヘン空港を離陸するのが1時間くらい遅延した。原

因はボローニャ空港の管制に何かIATAルール上の問題があったと説明された。この遅延が

無くて、若し順調に飛んでいたら、おそらく藤牧さんご夫妻と奇遇することは無かったで

あろう。そもそも奇遇とはそんなものかも知れない。

 

 話が古くなるが、1965年9月にモスクワで藤牧さんと奇遇したことがある。それは

尖塔に赤い星を掲げた巨大なウクライナホテルの高層階のエレベーターホールであった。

当時、三井物産のモスクワ支店(形式は東邦物産モスクワ支店)はそのホテルに在った。

私は、デュッセルドルフ駐在員として赴任する途上、モスクワに用事があって立ち寄り、

三井物産支店のお世話になっていた。その頃、藤牧さんは物産のデュッセルドルフ支店に

駐在勤務されていたのだから、モスクワ支店のあるこのホテルに現われる蓋然性が幾らか

はあったかもしれない。でも、これは矢張り「奇遇」であった。

 

(以下次回)