2005.7.14

西 村 三千男 記

連載「ドイツ化学史の旅のこぼれ話」

 

第8回 ANA Deutschebahn Connection と AIRail と Airport Express

 

全日空には ANA Deutschebahn Connection というサービスがある。成田〜フランクフル

ト便の延長として、デュッセルドルフ、ケルン・ボン、シュツットガルトの各都市へドイツ

鉄道DBの電車で乗り継ぎ出来る。航空券で電車に乗ることになり、チェックイン荷物も到

着駅で受け取ることになる。逆に、帰り便へは鉄道の駅でもチェックイン出来る。

 

これはルフトハンザドイツ航空がミレニアム以降に展開して来た AIRail(= Air Rail)に全

日空がスターアライアンスメンバーの仲間として参加しているものである。AIRail はドイツ

鉄道DBとルフトハンザLHとフランクフルト空港会社の3社連合らしい。ドイツ鉄道DB

の超特急ICEにルフトハンザLHの専用車両を連結していて、列車番号とフライト番号と

をコードシェアーしている。先ず、2001年にフランクフルト/シュツットガルト間から

始まり、次いでフランクフルト/ケルン・ボン/デュッセルドルフ間へと拡大された。

 

 ANA Deutschebahn Connection は全日空のフライトがフランクフルト空港に発着する時間

帯に限定されているのに対して、LHの AIRail は極めて頻繁である。フランクフルト空港

がLHのハブ空港だから当然である。LHにとって、このシステムの経営戦略的意図が何で

あるかは知らないけれど、ユーザーの側からみると、下述する Airport Express のリバイバ

ルと思える。

 

1980年代から90年代にかけて、世界中がバブル経済であった頃、デュッセルドルフ

/フランクフルト間を Airport Express というルフトハンザドイツ航空の専用列車が走行し

ていた。全車が1等車で、航空券でのみ乗車出来た。ルフトハンザのスチュアーデスが乗務

して機内食と同じものを航空機内と同様にワイン等の飲み物付でサービスしていた。ローレ

ライ付近にさしかかるとスチュアーデスが観光案内を車内放送していた。

 

ヨーロッパ出張の際に偶然この素敵な鉄道旅を経験したのであった。所要時間はフライト

より少々長いけれど、鉄道の方がゆったりとくつろげて遥かに気分がよい。初体験は全く偶

然であったが、次回からはわざわざこれを旅程に組込むようにした。1988年の銀婚旅行

でもそのようにした。

 

このサービスは、当時増え続けていた航空客需要にフランクフルト空港の能力が対応しき

れず、近距離客をレールに振り替輸送する工夫であった。バブル経済が崩壊した後は振り替

輸送の必要性は薄れて Airport Express もジリ貧になったようだ。1993年に機会があっ

て、あの素敵な列車の旅を今一度体験しようとトライしたが、既に形骸化して消滅寸前の無

残な姿となっていた。即ち、専用列車ではなく通常の特急に Airport Express の車両を1両

だけ接続して、スチュアーデスではなく車掌がお仕着せのサンドイッチとビールを配ってい

た。その後、間もなくサービス全体が廃止されたようだ。そして、いまそれが AIRail とし

て復活しつつある。

 

(以下次回)