黒麹と清涼飲料          (2-17-2005)

 

南九州―沖縄で製造される焼酎生産用麹は、清酒用のアスパーギラス-オリザエとは親類ではあるが少し性質の異なるアスパギラス-カワチイ(白麹)あるいはアスパギラス-アワモリ(黒麹)がもちいられる。沖縄では黒麹菌は空気中に浮遊していて、蒸した米を広げておくと、黒麹が発生したり、白麹がついたりするという。

 

黒麹は本州でもよく出くわすもので、風呂の壁にはえる黒かび、たまねぎの中に時々生えるくろかびなどはアスパギラス-ニガーであるがアスパギラス-アワモリの近い親類である。アスパギラス-ニガーでも焼酎はできる。アスパーギラス-カワチとアスパギラス-アワモリ、アスパーギラス-ニガーの共通点はアルコール醗酵中にクエン酸と生成し、もろみを酸性にする。しかし職人たちは黒麹よりは白麹を好のむ。その理由は黒麹では作業所が真っ黒によごれるからだ。

 

クエン酸は雑菌を抑制し、気温の高い夏中でもアルコールを醗酵可能にするので、九州で焼酎を生産するのに都合がよい。

 

さて、アスパーギラス-ニガーと清涼飲料を結ぶ橋はクエン酸である。以前、イタリアのレモン生産農家が清涼飲料業界へのレモンの売れ行きを見込んで、レモンの生産量を大量に増やした。ところが北欧の会社がアスパーギラス-ニガーを用いたくえん酸の製造に成功し、低価格で大量生産を始めたので、イタリアのレモン業者は大打撃を受けたのであった。

 

この方法によるクエン酸生産量は現在中国がもっとも多く、日本、アメリカに輸出している。焼酎と清涼飲料も意外なところで繋がっているものだ。