2005.12.20

西 村 三千男 記

連載「ドイツ化学史の旅のこぼれ話」

 

第20回 免税ショッピング~その3(今昔ものがたり)

 

Tax Refund とよく似た制度に「免税品販売 = Duty Free Shop」がある。国際空港の免

税店でのお買物や国際フライトの免税品機内販売がそれである。これらは街の中での免税シ

ョッピングと異なり、フライト番号を付けた伝票が発行されるだけで、免税申請書類は不要

である。但し、帰国時の入国税関では、これらの免税品と Tax Refund 済みの免税品の全て

をひっくるめて検査を受けることになる。

 

 約40年前、遠い過去の免税ショッピングを思い出してみよう。当時のヨーロッパでの免

税ショッピングではスイスで腕時計を買うことが流行していた。チューリッヒやジュネーブ

の時計店のショーウインドウには日本語で「免税販売いたします.日本語を話す店員がお世

話いたします.」と表示されているのをよく見かけた。免税の手続きがどうなっていたかは

思い出せない。自分でこれを利用して腕時計を買った経験が無いのである。

 

 逆に、日本からの高級なお土産としてはニコンの双眼鏡やキャノンのカメラが喜ばれた。

これらを免税で購入するのだが、税金分は購入者が申請して還付されるのではなく、その場

は税引き価格で購入した。免税書類は出国時の税関でサインを貰って販売店へ返送すると、

販売店が事後に免税申請することになっていたようだ。

 

一方、日本を出国するときに既に使用中であるスイス製腕時計やドイツ製カメラなどの外

国製品はパスポートに税関が品名、型番などを手書きで記載証明していた。帰国の税関検査

時に海外で新たに購入した免税品と区別するためであった。また、上述の日本製品の免税品

ギフトを海外へ持ち出す場合も、同様にパスポートに記載して、帰国時に不正に国内へ還流

させない措置としていた。

 

このことは当時の免税申請の件数が個々人のパスポートに手書きで記載できる程度であっ

たことを意味している。免税制度を利用する人が多くなり、一人当たりの件数も増加してく

ると、パスポートに記載するのでは対応出来なくなって、制度は逐次改定されたであろう。

多分、諸外国でもたびたび免税制度は改定されたに違いない。

 

前々回に述べた Tax Refund が一般化したのは何時からか覚えていないが、消費税(付

加価値税)が導入されて、次第にその税率が高くなり、免税が拡販の武器となってからであ

ろう。自ら体験したのは1981年のことであった。ロンドンの百貨店ハロッズでアクアス

キュータムのコートを買った時に、店員さんから免税申請を勧められた。ハロッズ店内の売

場とは別の階で申請して、その階で還付を受けた。英国を出国する時にその申請書類に税関

の証明サインを貰ってハロッズへ返送した。ヒースロー空港の税関のそばに専用のポストが

あった。

 

(以下次回)