オハイオの鹿

 

 

鹿が日常の生活や、社会に影響を及ぼすといえば変に聞こえるかもしれない。ところが、昨年の夏、我が家の庭に現れた。一度くると、つずけて毎日のようにやってきて、非常に厄介になる。というのは、背が高く、首も長いので、少々の柵があっても中の植物を食べつくし、花壇や畑が荒らされるからである。また5年ほど前の話だが、息子の車に鹿がぶっつかって廃車となった

 

私の家の近くに、Scioto River(私が命名した名前は左淀川)が流れている。この河川沿いにかなり広いジャングルのように木の生えた地域があったが、近年開発が進み住宅が建ち始め、ジャングルのような地域が消えつつあるが、鹿が民家にも現れるようになったのは、その影響かもしれない。

 

こんなことを書き始めたのは、数日前の新聞の記事を見てからのことである。記事の内容をかいつまんで紹介しよう。オハイオ州の鹿の数は狩猟期の直前で60万頭、狩猟者の数は州外からやってくる人をふくめて約50万人、狩猟期の期間に20万頭が撃ち殺されるみこみである。(狩猟者はグループでやってくるので5人に2頭打ちとめれば十分であろう。彼らは肉を持ち帰り、食用にする。)鹿の数を半分以下に減らそうという運動があり、賛否両論がある。というのも、鹿による被害が無視できなからである。

 

鹿による損害の総額は$2,000,000,000 (2ビリオンドル)で、その約半分は農作物、材木用の樹木、観賞用植物に関し、後の半分が交通事故によるもの。鹿による交通事故死は一年間約10人、けが人はなんと約千人にのぼる。一方鹿による観光業などの利益は266ミリオンドル、つまり損害の総額の約十分の一。オハイオ州の人口は11ミリオン、損害の総額を人口で割ってみると、一人当たり年間200ドル、5人家族だと千ドルの負担となる。狩猟の流れ弾にあたって死ぬ人もかなりる。つい最近の解禁日にも一人死んだ

 

馬鹿に出来ない数字が出てきたが、オハイオに住んでいるかぎり人事ではない。

 

中村 (12-18-2006)