2006.3.15
西 村 三千男 記
続々「ポコポコ・イタリアーノ」
第6話 フェッラーラ(Ferrara)
フェッラーラはイタリア人が住みたい街のベスト3に入っているそうだ。2005年
6月、ボローニャのホテルにスーツケースを置いて、軽装でフェッラーラへ1泊旅行に
出かけた。ボローニャのホテル従業員さん達や買物したお店の店員さん達は異口同音に
「その旅行、いいですねぇ。フェッラーラは美しい街ですよ。」と言っていた。
当HP2005年号にご紹介したが、私は約40年前の駐在員時代にこの街に素敵な
思い出を持っている。その思い出に繋がる何かに再会出来るかも知れないと密かに期待
していたのであったが、何も発見出来なかった。その代わり、今回の旅であらためて充
分に素敵な思い出を刻んで来た。
フェッラーラは北イタリアにおけるルネッサンスの華と言われている。13〜15世
紀にかけてこの街にはエステ家が居城を置いていた。エステ家はこの地方、モデナ/フ
ェッラーラを支配した名門貴族であった。エステンセ城は「エステ家の城」を意味して
いる。モデナにあるエステンセ美術館は「エステ家の美術館」でエステ家コレクション
を母体に展示している。また、リストのピアノ曲のテーマにもなっているローマ郊外チ
ヴォリのエステ荘はエステ家の別荘である。
因みに、ミラノ近郊コモ湖畔には同名のホテル・ビラデステ(=エステ荘)がある。こ
こには、1995年、長男の結婚式の先付け旅行で宿泊したが、あまりにも高級過ぎて
圧倒された。客室に置かれたホテルガイドのリーフレットには「1930年代のフラン
ス映画『舞踏会の手帳』の舞台になった」と自慢してあった。ホテルフロントにコモ湖
の遊覧船の時刻表を尋ねたら「ショファー付きの専用遊覧船が、何時でもお客様のため
に待機しています」と返事されて慌てた。このホテルはエステ家と関係があるのかどう
かは不詳である。
(以下次回)