2006.10.1

西村 三千男 記

 

貴州の茅台(マオタイ)酒のユニーク製法

 

 先ず、下記の引用文をご覧頂こう。

「・・・中国の蒸留酒は一般に白酒(パイチュー)と呼ばれる。なかでも一番大切な酒

として国家行事にも使われるのが茅台(マオタイ)酒(60度)である。

茅台酒の原料はコウリャンという穀物の一種であるが、製法が変わっている。蒸したコ

ウリャンに麹を振りかけただけで発酵させるのである。発酵過程に水をいっさい使わない

のだ。これを固体発酵という。この発酵法の面白いところは、不均一反応の特色で、場所

によって別べつの細菌が働き、多種類の発酵が同時進行することにある。これにより、非

常に複雑な組成の混合物ができあがる。発酵が進んで柔らかくなった時点で蒸留し、その

あと長期にわたって熟成させたものが茅台酒である。

 さすが中国4000年の銘酒と思わせるすばらしい香気だが、60度とは思えないほど

アルコール度数が高く感じられる。田中角栄元首相が中国で国賓としてもてなされたとき

にもだされた酒で、乾杯をしすぎた元首相が、側近に抱えられていた新聞写真は忘れられ

ない。この酒で次つぎと乾杯を求められたとあっては、酒豪で鳴る元首相でも、さもあり

なんと思われる。・・・・」

(斉藤勝裕・名工大、化学 Vol. 61 No.9 (2006) p.34-36

 

啓蒙雑誌である「化学」に連載されている斉藤先生の随筆「化学漫遊記」の先月号分か

ら一字一句原文通り転記した。

 

HP2003年号の余談「世界の火酒」に述べたように、自分でも茅台酒にいささかの

体験を持ってはいるが、その製法が固相不均一発酵であることは初耳である。広辞苑では

麹がこれまた珍しい「小麦麹」であると述べているが、固相発酵には触れていない。

 

麹と発酵にめっぽう詳しい中村さんはご存じでしたか?

 

                                 (おわり)