2006.1.30

西 村 三千男 記

 

ポータブルHDD〜その2(リムーバブルからポータブルへ)

 

ポータブルHDDやUSBメモリーをパソコンに接続すると、Windows XP はリムーバ

ブルディスクと認識する。HDDの技術進歩の経過を顧みると、「ポータブル」の前に

「リムーバブル」が重要であった。

 

電気化学工業の研究所長であった頃、会社がハードディスクのメディア製造販売を事

業化していた。関連事業として磁気ヘッドも研究開発していた。結局、開発のスピード

競争に敗れて、1995年に多額のロスを出して事業から撤退した。その頃の経験から

HDDの(その頃の)技術と事業環境の基礎的な知識は持っている。当時からリムーバ

ブルHDDは話題にはなっていたが、当時の常識ではその実現はリモートな「夢物語」

であった。

 

 約20年以前を思い出してみよう。大抵の職場でパソコンの1人1台時代は到来して

いなかった。1台のPCを2人以上の複数人で共同使用していた。この場合、PC作業

に使ったデータや作成したファイルをPC上に残せないので、何かのメディアにコピー

して各自で保存していた。鍵のかかる机の引き出しに格納するのが常識であった。人事

や経理のマル秘データは金庫に保管されていたと思う。多くの場合、メディアとしては

フロッピーディスクが使われていたが容量的に限界にきていた。

 

大容量メディアとして「リムーバブルHDD」が渇望されていたが、HDDは耐衝撃

性に弱点があって早期の実現は絶望視されていた。そこで、光ディスク、光磁気ディス

ク、高密度フロッピーディスクなどが各方面から提案され、一時は商品化されていた。

その後、PCの急速な低価格化と普及が進んで、あっという間にPC1人1台の時代と

なった。それに伴って、毎日、終業時にPC上のデータやファイルを取出して格納する

良き習慣も途絶えた。リムーバブルHDDのニーズはやや沈静化したようであった。

 

 ここにきてHDDの技術は、小型化、大容量化、低コスト化、耐衝撃化の進歩が顕著

である。リムーバブルHDDはポータブルHDDへと進化して求めやすい価格で供給さ

れている。空前の大ヒット商品、iPodミニに組み込まれているガラス基板HDDは

まさにポータブルである。

 

                       (以下次回)