2007年新年を迎えて

中村省一郎

(1-6-2007)

 

新年の誓いとか決心などと堅苦しいことをやらないのが私の習いであるが、こんなことをやって見たいというようなことは常にあるので、新年が来ても来なくても、すこしずつ実現させてゆきたいと思っている。

 

そんなテーマには、たらの木の水栽培、酢、生ハム、ロースハム、ベーコンを作ること、竜巻の原理解明の鍵を解くなど、その他にもいろいろある。

 

食べ物のテーマが多いのは、焼酎造りや味噌その他の知識や技術の延長であり、また西村さんからいただいた情報に刺激されている面もたしかにある。

 

たらの木の水栽培は2月には始める予定で、たらの木の幹を実験用に一本用意してあるので、これから十数本の苗が出来そうである。

 

酢は以前に試みたが失敗した。今回は酢を作る酵母の入手法がわかったので成功しそうである。

 

料理の経験は、以前は日本食のなかった米国の土地で、どうすれば日本食らしいものが食べられるかという疑問からはじめた努力で、日本食とは何かを随分追求したのだが、私の日本料理は、日本で食べるよりも旨いと、日本からたずねて来た人にも言われるようになって耳をうたがった。家庭料理の本にこだわらず、素材本来の味と香りを追求する。庭でできた新鮮な野菜(今年は暖冬で土が凍っておらず、一月でもごぼうや長ネギが掘れる)の料理や、自家製の味噌や酒粕をもちいた粕漬などは、妻からも文句なく認められている

 

生ハム、ロースハム、ベーコンは初の経験だが、これも原理と方法は分かっているし、幸い地下室に肉をつるしておけるのでやりやすい。生ハムの謎は、なぜ豚を生でたべてよいかであるが、一年以上つるしている間に、どんな微生物も生きていられない状態になることが鍵なのであろう。米国の豚肉は安いが、セラノやパーマ地方の豚のごとくエイコン(どんぐり)を食べさせられているとは思えず程遠いであろうが、最初はそれらしき結果がでれば満足したい。失敗しても、大して費用のかかることではない。それに米国にもエイコンは大量にあるのだから、それを食べさせて育てた豚が将来みつからないとは言い切れない。

 

竜巻に関しては、(神の啓示により)竜巻の原理を発見したという人から、何度か話を聞いている間にこのテーマの虜になってしまった。彼の理論は矛盾があって間違っていると思うが、彼は私の指摘を聞こうとしない。これをきっかけに私自身随分文献を調べたが、よくは解明されていない分野である。しかも、ほとんどの論文の著者が流体力学の基礎知識なしに議論していて、大事な考察がかけている。そのようなわけで、自分なりに理論を展開し数値シュミレーションしてみようとおもう。竜巻など以前には考えもしなっかたのだが、回転する流体の解析はかなり論文も書いたので、その延長として出来るところに強みもある。

 

話が変わるが、最近米国で車の燃料用にトーモロコシからのエタノールを作る生産量が急に増えてきた。80%エタノール20%ガソリン混合を売っているところもあるという。それは良いことだが、トーモロコシの値段が上がり、追々さまざまな食料の値段の上昇にもつながることであろう。トーモロコシ澱粉をアルコールに変えるのには、まずは西洋式なら麦芽で糖に変換するか、日本式なら麹をつかうわけで、その後イーストで糖をアルコールに変換し蒸留する。つまり違法ウイスキー、あるいは違法焼酎を造るのと変わらない。

 

そんなニューズを聞きながら、それならセルローズもアルコールに出来るはず(学生時代に習った知識)だから、トーモロコシの葉、幹ばもちろん、どんな木の枝や、植物性の燃えるものならたいていはアルコールの原料になるはずだと思った。早速インターネットで調べてみると、すでにパイロットプラントも出来ているという。セルローズを糖に分解するには酸と高圧加熱が必要でコストが高くつくという記事があったが、これは我々も学生時代に習った古い方法で、さらに良く調べると、現代のやりかたは、セルラーゼを用いてセルローズを糖に分解し、糖からアルコールへはイースト醗酵する。セルラーゼはセルローズを糖に分解する酵素の総称で、山羊、羊、牛が藁や干草を食べて生きてゆけるのは、唾液や胃のなかにセルラーゼがあるからである。カナダではすでに百万トンのエタノールが麦わらやトーモロコシの幹から生産されている。始まったばかりで、改良の余地はいくらでもあるように思われ、非常に有望である。

 

一方こんな記事もあった。セルローズからはメタノールのほうが作りやすく、一方燃料電池にはエタノールよりはメタノールのほうが適していて、燃料電池がさらに普及してきたら、セルローズからのメタノール生産は需要が増すというのだ。米国ではセルローズ系の原料は年間1.3ビリオントンまで供給可能で、現在の石油の50%までアルコールで置き換えることが可能という。将来、大きな雇用と経済寄与が予想されている。

 

こんなことを考えたり読んだりしていたら、一月もすでに七日目である。大学院の授業は、数値解法(四則計算だけで偏微分方程式を解く方法で宇宙や地球のシュミレーシオンもこれがないと出来ない)が内容で三日前に始まった。