200121(修正)

西 村 三千男 記

連載「ドイツ化学史の旅・パート2のこぼれ話」

 

第2回 ドイツの風力発電

 今回の旅は、初日フランクフルト空港到着から最終日ベルリン空港出発までの8泊9日

間、専用バスをチャーターした。途中、主たる目的地であるダルムシュタット、ゲッティ

ンゲン、ドレスデン、ベルリンの他にも幾つかの世界遺産などに立ち寄りながら、中部ド

イツを横断した。全行程は1千キロメートルを優に超える。

 その行く先々の車窓風景に数多くの風力発電機のプロペラを見かけた。それらは、時折

映像で紹介される米国カリフォルニアの高原やデンマークの海岸線に整然と並んだプロペ

ラ群とは異なり、あちらこちらに三々五々の発電機がランダムに配置されている様であっ

た。大きさや型式も統一されていない。

何事によらず、整理整頓大好きのドイツ人が何故?と疑問を感じた。

 その理由を、帰国後藤牧さんから拝借した新書本、

 田中優著「地球温暖化/人類滅亡のシナリオは回避できるか」(扶桑社、2007年)

の中に偶然発見した。日本や米国、英国では風力発電機は主に企業の事業として設置され

ているのと異なり、ドイツやオランダでは風力発電機に出資出来るのは市民に限定されて

いるという。そして風力発電などの自然エネルギー発電の余剰電力は電力会社が市場価格

よりも割高に買い入れる義務が法定されている。2000年に改正された「再生可能エネ

ルギー法 (Erneuerbare-Energien-Gesetz)」である。EEGと略称される。確実に投資が

回収出来て、「もうかる」再生可能エネルギーへの投資が市民レベルで隆盛し、騒音や景

観などの不都合にも我慢するのだという。渡り鳥がプロペラに衝突するバードストライク

の頻発する時期には市民が自主的に稼働停止の措置をとっている。

 その一方で、太陽光発電では日本が個人住宅の屋根にパネル設置を奨励しているのと対

照的に、ドイツは企業に大型パネルの大規模太陽光発電所を建設させている。 

 下図データで示すが、ドイツの風力発電容量は米国、デンマーク、スペインを抜いて、

世界1位である。また太陽光発電でも、これまでダントツであった日本を2006年に抜

いて世界1位になった。「もうかる」法制の仕組みが強みとなっているのである。

                                

 

 

太陽光発電の累積導入容量

               

(以下次回)