20012

西 村 三千男 記

連載「ドイツ化学史の旅・パート2のこぼれ話」

 

第3回 地球温暖化対応〜ドイツの本気度

 

 昨今の地球規模気候変動が「二酸化炭素による地球温暖化」と関連づけてホットに議論

されている。先般のIPCCの第4次報告書では、人類の行為が原因であることは科学的

に確認されたとして、国際政治の出番であると催促している。

 ヨーロッパ諸国の中でもドイツ、オランダ、英国は地球環境問題に格別に熱心である。

A.メルケル首相率いるドイツは正真正銘、本気で地球温暖化対策に取り組んでいると思

う。彼女は京都議定書を採択したCOP3(1997年)にはドイツを代表する環境相と

して出席していた経歴を持っている。現政権は、1990年台のコール長期政権下では環

境問題で先鋭な反体制側にあり、世界で最も有力な環境政党と言われた「ドイツ緑の党」

とさえも、環境政策に関する限り協調路線をとっているように見える。

1993年に高分子同友会の欧米調査団としてヘキストやバイエルを往訪したが、その

際の討論では、「緑の党」は化学会社の企業活動にも攻撃的であった。連邦議会で15%

くらいの議席を有し、原子力発電や化学製品による環境(水質と大気)汚染には理屈抜き

の反対姿勢が鮮明であった。その後、1998年に成立したSPD(ドイツの社民党)の

シュレーダー政権は「緑の党」との連立政権であり、原子力発電を段階的に廃止すること

を法律で決めて世界を驚かせた。CDU(ドイツの中道右派政党)が政権を奪還すれば、

原子力発電を廃止する政策は見直されるだろうと観測されていたが、2005年に成立し

たメルケル政権はCDUとSPDの大連立政権であり、メルケル首相は「原子力発電廃止

の方針を堅持しながら、京都議定書の温室効果ガス削減の目標を達成し、ポスト京都議定

書の国際協議でも世界を牽引する。自然エネルギーで地球環境を守る。」と公言している。

巷間、「ドイツが京都議定書の温暖化ガス削減目標を易々と達成できるのは、旧東ドイ

ツの非効率的な産業を合算しているからだ」とか「ドイツは原子力発電所を段階的に廃止

すると表明する一方で、フランスから原子力発電由来の電力を購入しているのは偽善的行

為である」と批判されている。それらの批判に対しては、ドイツは行動と実績で答えよう

としていると見受けられる。

8月末開催の「日独経済シンポジウム〜環境と成長の調和」に於けるメルケル首相の基

調講演の感想を当HPに掲載している(ドイツ首相、Dr.A.メルケル〜鉄のお嬢)。その

会場受付でドイツ外務省が布製ショッピングバッグをお土産として配布していた。プラス

チック製レジ袋の代替である。ドイツではずっと以前からレジ袋を自粛していて、それを

日本にも広めたいとの意思表示であろう。ドイツには昔から使い捨てを嫌う土壌もある。

 ここではクドクドと述べないけれど、ドイツ人の節電、節水は筋金入りであるが、京都

議定書以降はそれが益々エスカレートしてきている。

ゲッティンゲン大学理学部の化学科長 Tietze 教授は私たちを大学に案内して下さった

が、開口一番「この建物は築35年で断熱不十分!!」。理学部の大先生も意識が高い。

 

旅の最終日、夕食のビアーレストランで、男性メンバーは「ドイツの地球環境対応の本

気度」についてホットに議論した。

                                (以下次回)