ルピナスと葛   中村省一郎(3-30-07)

 

ルピナスは観賞用の花として知られ、我が家でも毎年咲く。確かに豆の鞘が出来、種は大豆に比べれば4分の1くらいの直径で、しま模様があり宝石にもなりそうな綺麗な種である。この種(豆)が食べられると知ったのは、最近のことで、食料品店でLupiniと書いてある豆の袋を見つけたのがきっかけであった。これはLupinusに違いないと思い買い求めて、帰ってから調べてみると、まさに花のLupinusと同じ種類で、異なるところは、花が白色に限ることと、種が大豆の二倍くらい大きい。食べ物としては中東でよく知られ、茹でても皮が硬いので、ソラマメのごとく、中身をつるっと口に入れて食べると言う。


花のルピナスの種は発芽率が良くなく時間もかかるのだが。豆のほうは一晩水につけ、水を殆ど捨てて豆が空気を吸えるようにしておくと、2日もすると全ての粒から根がでてきてモヤシができる。観察用として畑にも播いた。

 

マメ科の植物である葛には話題が多い。日本では吉野が葛の産地として知られている。葛は東南アジアに分布し、中国では葛の根と花が漢方薬として重要な位地を守っている。水戸黄門が長生きしたのも、よく葛の花を煎じて飲んだからという説がある。

くず粉は葛の根からとる澱粉で、10kgの根からやっと1kgくらいが取れるという。もともと非常にあくの強いもので、何度も水にさらして、あくを取って白い粉にするらしい。当然生産コストは高くなり、市販のは殆どがトーモロコシなどの澱粉で薄めてあるといわれる。何ごとも本物を手に入れることは大変なことである。

 

kuzuは米国でも良く知られているが、悪名も高い。その理由は、土砂崩れを防ぐ手段として葛の木が選ばれて導入され、役に立つことも多かったのだが、増え方が激しく、平らなところにも蔓延して、一面に小屋とか樹木がみな葛の蔓に覆われてしまい、使えない土地が増えてしまったのである。テキサスなど南部の州に多く、薬品を撒いて殺している。

 

私も今から思えば、葛の蔓が茂る家に一夏住んだことがある。大岡山駅の東工大とは反対のほうへ10分も行かないところに、70度以上と思われる斜面に建てられた家で、一階の入り口は狭いが、長い階段を3階まで上がると景色もよく広くて快適な家であった。その家のベランダにひどく葉の大きい蔓がのたうちまわっていて、蔓の先はあれよと言うまに、斜面の上のほうに伸びていった。ジャックと豆の木の話の蔓はこんなかとは思ったが、それが葛であったとは最近まで気が付かなかった。