2007.1.7

西村 三千男 記

続々「ポコポコ・イタリアーノ」

 

第19話(最終回) 悪名高いイタリアの郵便事業

 

TVイタリア語講座テキストに私が愛読している2つの連載コーナーがある。1つは

本シリーズに数回登場したボローニャ在住の市口桂子さんの漫画「K-ko a Bologna」で

あり、いま1つはシエナ在住の元バイオリニストでコラムニスト大矢アキオ氏のコラム

「ああイタリア生活劇場」である。

 

 2006年8月号のコラムに大矢氏は最近のイタリア郵便事情をとりあげている。氏

によると、イタリアの郵便は今も往時と同じように劣悪なサービスを続けているようで

ある

 

往時は・・・・

約40年前、私が欧州に駐在していた頃はイタリアの郵便は悪名高くて、外国人から

のみならず、自国人からも全く信頼されていなかった。当時の悪評を列記してみよう。

・現地の商社の人々から、「日本への国際郵便はなるべくイタリアから出状せずに、

イタリア国外に出てから投函するように」とアドバイスされていた。郵便の紛失と

遅配が常態化していたからである。

・イタリア代理店のパートナーは「ミラノ市内郵便でも配達に1週間もかかるので、

使用に耐えない」と嘆いていた。

・郵便物に切手代を添えて、一流ホテルのフロントかコンシェルジェに出状を頼んで

も、確実に出してくれる保証は無い。当時は急ぐ航空便と不急の船便の料金区別が

厳然とあったが、航空便の料金を渡してもボーイが差額をネコババして船便で出す

とか、全額をネコババして郵便物は捨てられてしまうことがあると云われていた。

  これは郵便事業のサービスの質の問題ではなく、ホテルや社会全体の規律と倫理の

  水準を反映していたのであったが。

 

最近では・・・・

イタリア郵便は日本に先行して1998年に民営化され Poste Italiane S.p.A.(株

式会社)となったけれど、サービスの質は一向に改善されないそうだ。

・日本から取り寄せた食品の小包の到着が遅れて、賞味期限切れ後に届いた。

・日本から国際エクスプレス郵便で送った書類がイタリアに入ってから消失した。

・書留の郵便物が消失することもマレではない。

・小包を受け付ける係が「くわえ葉巻」で応対することがある。

・政令による郵便料金の値上げはしばしば且つ突然である。

・慢性的な配達遅れ対策として、2000年から「優先郵便 Posta prioritaria」の

サービスが始まった。一般の郵便物に優先して、国内向け24時間以内配達を目標

にした。また外国向け航空便はすべてこの扱いとした。

・さらに2006年6月から、すべての国内向け郵便が優先郵便となり、普通郵便が

 なくなった。すべてが「優先」とはマンガ的でもある。

・イタリアの一般的な家庭が1年間に出す郵便の数は、平均たったの3通だという。

この信じ難い少なさは、携帯電話や電子メールが普及したことに加え、郵便サービ

スの劣悪さが招いた結果であろう。

 

イタリア国鉄のサービスの劣悪さについては、本HPに何度か紹介したところである

が、郵便も負けずに劣悪サービスを継続している。ミレニアムを契機に、イタリア社会

は観光立国に相応しい改革、改善を見せてはいるが、公的サービスの改革は取り残され

ているようである。

(大矢アキオ氏と麻里夫人のHP:http://www.lavitatoscana.it/

                      (おわり)