2007.1.2

西村 三千男 記

超高速コンピュータの話題

 

1.東工大のスーパーコンピュータが日本最速か?

  授業中にコンピュータ好きの先生が「東工大のコンピュータが日本で一番速いんだ」と

 自慢されるのを何度か聞かされた。「本当かな?地球シミュレータが世界最速だと聞いた

ことがあるけど・・・、実際のところ、世界最速のコンピュータは何処にあるのかな?」

 本稿はスーパーコンの世間話である。技術的な内容は含まない。

 

2.次世代スーパーコンの計画

昨秋、2006年10月24日付けの日経夕刊に次世代スーパーコンについて、小さな

記事が載っていた。日本国政府が次世代スーパーコン計画に2006年度から5カ年間に

総事業費1,154億円を投じて、2011年度の稼働を目指すことになった。今年度中

にその立地を選定することになったが、札幌、横浜、神戸など12市と京都府相楽郡など

3郡が立候補している。開発主体となる理化学研究所が自治体のヒアリングなど選定作業

に取りかかっている。各候補自治体は最先端技術を持つ研究施設の立地で知名度を高め、

関連企業の誘致などによる地域振興を見込んでいる・・・と記事は結ばれていた。

 

3.或る時期世界最速といわれた地球シミュレータ

(独法)海洋研究開発機構で稼働中の地球シミュレータは運用開始された2002年3月

時点では世界最速コンピュータだとされていた。これは日米の政府間協議と協調の結果と

して実現したものであったが、世界最速スーパーコンがアメリカではなく、日本に存在す

ることには米国の関係者やIBM社は我慢ならなかったようである。IBM社が巻き返し、

2005年には首位を奪還した。あっと言う間に、地球シミュレータはベストテンの末席

にまでランクが下がってしまった。スーパーコンの性能競争は国の競争力の象徴とも見な

されるので、日本国政府も次世代スーパーコンに予算付けをしたものである。日米だけで

なく、世界各国で国対国の威信をかけたスーパーコンの熾烈な開発競争が始まっていると

伝えられている。

 

4.地球シミュレータは新杉田駅(JR根岸線)近傍にあるのだが・・・

  地球シミュレータは新杉田駅の近くにある。それによって地域の知名度が向上した等と

は聞いたことがない。昨年夏、機会を得て見学訪問した。電車を降りて駅前で近隣の住民

らしい人に研究所へのアクセスを尋ねたが、誰も良く知らないようであった。次世代スー

パーコンを誘致している自治体はこの辺のことを認識しているだろうか?

 

5.研究所員の希望する次世代の立地は?

地球シミュレータを案内してくれた某研究所員の人に「次世代の立地は何処がいいです

か?」と聞いてみた。「電力供給が安定していれば何処でも良いけど、飛行場に近い処が

いいな・・・個人的には札幌を推したい」と話してくれた。

 

6.世界の高速コンピュータ上位10台

2006年10月27日付け日経産業新聞の特集記事(P.21)から転記

@    位 米エネルギー省・国家安全保障局・

ローレンスリバモア研究所(米)     米IBM

A 位 IBMワトソン研究所(米)       米IBM

B 位  米エネルギー省・国家安全保障局・

ローレンスリバモア研究所(米)     米IBM

C 位 米航空宇宙局(NASA、米)      米SGI

D 位 仏原子力公社(CEA、仏)        仏ブル

E 位 サンディア研究所(米)          米デル

F 位 東京工業大学(日)            米サン・マイクロ

システムズ、日NEC、

G 位 ユーリヒ総合研究機構(FZJ、独)   米IBM

H 位  サンディア研究所(米)          米クレイ

I 位  地球シミュレータセンター(日)     日NEC

 

 某助教授が自慢される通り、東工大のスーパーコンが日本最速のようだ。

 

7.宇宙シミュレータ(筑波大)

地球シミュレータがあるなら、「宇宙シミュレータ」を名乗る計算機もあるだろう。確か

にあった。2006年9月18日付け日経夕刊によると、筑波大で昨秋9月末から稼働する

宇宙シミュレータは「宇宙誕生から現在までの変化を模擬するスーパーコン」で、この用途

では世界最速だという。

 

 話はややこしいが、パイロット訓練用のフライトシミュレータやドライブシミュレータと

同じ意味のレジャー用「宇宙シミュレータ」もある。こども達に(大人にも)まじめに宇宙

遊泳を模擬体験させるものである。

 

                      (おわり