随想

地域からみた地球温暖化

 

 武山高之

 

 私が住んでいる千葉市緑区土気・あすみが丘で、地球温暖化(含む都市化によるヒートアイランド現象)がどのように進んでいるかを調べてみました。

また、かつて担当した新エネルギー開発の経験も加味しました。

 

1.気象庁のデータからみた千葉の温暖化

 土気・あすみが丘の長期気象データはないかと調べてみましたが、残念ながらありません。ただ、気象庁の記録から、周辺の千葉・銚子・茂原・牛久(市原市の山間部)の30年以上の気象データが得られました。このデータから、過去30年間の年間の冬日(1日の最低気温が0℃以下の日)日数と真夏日(1日の最高気温が30℃以上の日)日数の変化の概要をまとめてみると、およそ次のようになります。

 

30年間の冬日日数の変化:千葉・銚子では、約30日から10日以下に、茂原では、約50日から約30日に、牛久では、約80日から約60日に各々減少しており、確実に温暖化が進んでいます。

 

 30年間の真夏日日数の変化:千葉・茂原・牛久では約30日が約50日に、銚子では10日以下が約20日に各々増加しており、こちらでも確実に温暖化が進んでいます。

   

2.あすみが丘周辺の自然観察

 このような温暖化が動植物などの自然現象にどう影響しているのでしょうか?

 もっともよく観測されているのが、ソメイヨシノの開花時期です。気象庁に全国各地の記録がありますが、千葉の周辺では東京・横浜・銚子の記録があります。

 

関東地方では、この30年間に7日以上も開花が早くなっています。東北地方では、もっと早くなっています。一方、南国の鹿児島・高知ではそれほど早くなっていません。関東南部では、30年前のソメイヨシノの見頃は4月上旬でしたが、今では、3月下旬になっています。

 

 私はウオーキングを兼ねて、1年以上にわたり、あすみが丘および周辺の自然観察を続けています。温暖化のことは、最低でも10年以上観察を続けないと、はっきりしたことはいえませんが、印象としてはイチョウの黄葉、モミジの紅葉もかつては11月上旬でしたが、いまでは下旬になっています。

 チョウチョウやセミの観察も、温暖化に関係して面白いことに出会います。環境省生物多様化センターでは、今年の7月から『いきものめっけ〜100万人の温暖化しらべ〜』という住民参加プロジェクトを始めました。夏のテーマはミンミンゼミ・ツクツクボウシ・クマゼミの鳴き声が聞こえた日でした。いずれも、皆さんに馴染みの深いセミばかりです。

以上および項について詳しくは、ホームページ

「あすみが丘ふるさとエクスプローラー」

http://15.pro.tok2.com/~asumi/の「周辺の自然と環境」をご覧下さい。

 

周辺における温暖化の影響は、極北の氷解、南の島々の水没、珊瑚の死滅、農業・漁業への影響のような深刻なものは見られませんが、身近な現象から地球規模で起こっている変化に思いをめぐらすことは出来るでしょう。

 

3.歴史的に見た房総半島周辺の海面変化

地球温暖化で海面が上がり、陸地が減少することが心配されています。

地質学的にも地球の温度は大きく変動し、海面が上下したことが知られています。この様子をあすみが丘周辺から見てみましょう。2万年前の旧石器時代は、地質学的には最後の氷期にあたり、地球の平均気温は現在より5℃ほど低かったと思われます。

 

当時の海面は今より100メートルほど低く、東京湾も陸地で、土気の地も海から遠く離れた内陸でした。一方、6千年前の縄文時代には、地球の温暖化がみられ、あすみが丘の気温は今よりも気温は2、3℃高かったと思われます。当時は海面が上がり、海は東京湾岸で、誉田・鎌取辺りまで、九十九里側で昭和の森の下、1キロ辺りまで迫っていたことが貝塚の分布からわかっている。房総半島は村田川と大網白里辺りが一番狭くなっていた。この状況を「縄文海進」といいます。

 

詳しいことは、ホームページ『あすみが丘ふるさとエクスプローラー』

http://15.pro.tok2.com/~asumi/ の「地域の歴史」をご覧下さい。

 

4.市民活動と自治体活動

 いま、全国的各地で地球温暖化防止活動推進センターと地球温暖化防止活動推進員の制度が設けられ、条例・宣言・キャンペーンなどの活動が始められていますが、自然エネルギーの利用活動を実際に始めた所は限られています。

 

 最近、外国旅行で見たことから、千葉県でも何か出来ないか考えてみました。

まず、ドイツ・オランダを旅行すると、風力発電が急増しています。ドイツのアウトバーンを走ると、丘陵地が多い風景のあちこちに、10基ほどの風力発電機が集まった発電基地が見られます。オランダでは伝統的な風車小屋のある村に近接する工業地帯のあちこち似に、近代的な風力発電機が見られます。

 

千葉も丘陵地帯が多く、ゴルフ場が多数点在します。一方、東京湾側には石油コンビナートが見られます。風力発電の適地が多いのではないでしょうか? 台風も千葉に来るまでには弱っていますので、破損の問題も少ないでしょう。

 

太陽光発電は広い敷地が必要ですが、トルコの地中海沿岸の保養地・アンタルヤで屋根の上にぎっしりと太陽熱温水器を並べた風景を見たことがあります。一戸建ての住宅地の多い千葉では、屋根の上を太陽光発電に活用できる可能性があるのではないでしょうか?

最近の太陽光発電パネルは効率よく、軽量になっています。行政の強力な推進支援が望まれます。

 

5.回想・高齢技術者の新エネルギー開発

洞爺湖サミットは、2050年の目標が決まって、終りました。42年先の目標です。各国の首脳が智慧を出し、是非中間目標をはっきりして欲しいです。

 

 ここで、まずお話したいのは、私も若かった34年前の石油危機の頃のことです。その頃、私は国家プロジェクトの『サンシャイン計画』に少し関係していました。石油ばかりに頼ることの危うさを感じ、立ち上げられた「新エネルギー開発計画」で、当時の通産省と民間が協力して進めていたプロジェクトです。続いて、『ムーンライト計画』という「省エネルギー計画」も立ち上げられました。これらの計画はその後、『ニューサンシャイン計画』などに繋がって、現在に至っています。

 

 当初取り上げた計画の中に、今議論されている太陽光発電・風力発電・バイオマス・水素エネルギーシステム・燃料電池・ヒートポンプなども含まれておりました。その成果が今のCO2削減計画の基礎になっています。34年前の研究が今も続けられていますが、まだ完成してもいない状態です。

 

 このことから考えると、洞爺湖サミットで42年先の2050年の計画を考えたことも、決して荒唐無稽なことだとは言えないでしょう。しかし、内容をしっかりして、中間目標をきちんとしてかからないと、40年先ででも間に合わないかも知れません。

 

6.市民が思う洞爺湖サミット

 ところで、サミットの地球温暖化防止対策の議論は複雑で判り難いですね。そこで私なりに、4つに分けて整理してみました。

 

1)政治家の議論

 本音を言わないので、国際的には国益、国内的には党利党略ばかりで判り難い。

 

2)経済学者の議論

「排出量取引」の問題がこれに当たります。これも国益や企業の損得ばかりが議論され、本当に温暖化阻止の促進効果があるのか疑問に思います。

 

3)地球物理学者の立場

 地球の気候変動にはまだまだわからない不確定要素がたくさんあります。

「ここ数十年の温暖化が、本当に人間活動によるCO2の増加の結果である」

と決め付けるのには問題が残るという、意見があります。1990年の国連IPCCが出した「気候変動」の報告書には、その不確定要素について、明記されています。

 いまなお、「気温上昇をCO2増加のためだ」と断定できないという意見が著名な学者の中にたくさんあります。

 

4)技術者・工学者の立場

 3)の議論は残るが、CO2による温暖化が真実ならば、今のうちに対策を考えねば、手遅れになります。そのため、次の3点からのいますぐに対策を取っておくべきであるという考えです。私はこの立場に賛同します。

 

@ CO2発生がないか、あるいは少ない「新エネルギーシステム」を考える。

A CO2を吸収する森林の保護と、地中のCO2貯蔵を考える。

B        変換効率のいい装置・機械を考える。

 

@およびAについては、

原子力発電・太陽光発電・風力発電・バイオマス・水素エネルギーシステム・メタンハイドレート・燃料電池・ヒートポンプ・地下CO2貯蔵などの技術開発を具体的に考えることです。ところが、いずれも長短があります。それを具体的に解説した議論が一般国民にされていないように思います。まだ、専門家の意見が分かりかねています。

 いまは、政治的論争に明け暮れるよりも、この技術論を掘り下げることがより大切な時期ではないでしょうか。

20081025日記)