2007.12.17

西村 三千男 記

連載「ドイツ化学史の旅・パート2のこぼれ話」

 

第7回 ロンドン・ヒースロー空港

 

2012年の夏期オリンピックはロンドン開催と決まっている。しかし、今回の旅の印象

では、ロンドンの空の玄関、ヒースロー空港は「設備は貧弱、運営は劣悪」で、これでオリ

ンピック開催に対応出来るのだろうかと大きな疑問を感じた。トランジット客として数時間

滞在した間の観察であるから独断と偏見であるかも知れないが。

前回書いたが、今回の旅は、成田からロンドン経由でデュッセルドルフ入りしてスタート

した。全日空NH201便はヒースロー空港ターミナル3に40分も早く到着した。ルフト

ハンザの接続便はターミナル2から出発予定であった。このターミナル3からターミナル2

への移動が一仕事であった。連絡バスに乗るのだが、ターミナル3の到着ロビーから連絡バ

ス乗り場へは迷路の様な複雑な連絡通路とエスカレータのアップダウンを数回繰り返して漸

くたどり着いた。連絡バスを降りてからターミナル2への経路も同様の迷路とエスカレータ

のアップダウン数回を通過させられた。時間もそれ相当にかかった。私達は乗り継ぎ時間が

充分にあって焦ることはなかったが、乗り継ぎ時間がタイトな人は困っただろうなと思う。

また、これら連絡通路には標識が不充分、インフォメーションデスクも極々少ない。馴れて

いない人、身体の不自由な人などはどんなにか不安だろう。

 ターミナル2に着いてからの「入国審査」も「靴まで脱ぐセキュリティチェック」も呆れ

るほどの不条理を強いられる。

 ヒースロー空港は些末な空港ではない。国際空港の規模ランキング(乗降客数、発着便数

等)でトップクラスの主要空港である。2006年のデータでは第3位である(1位はアト

ランタ空港、2位はシカゴ・オヘア空港)。そんな主要空港が斯くも惨めな状況にあるのは

驚きである。

 好意的に解釈すれば、2012年のオリンピック開催に備えて設備の増強、改良工事中だ

から多少の不便を我慢している状態だとも言い訳できる。

下に引用するのは、西村が1993年10月にヒースロー空港で体験したことを、約1年

後に当時の勤務先の電気化学の研究所の所内LANの掲示板に掲載した拙文である。自分で

いま読み返してみて、14年前と較べても進歩がないと思う。

なお、当時、ヒースロー空港は規模のランキングでダントツ第1位であった。

 

(以下次回)

引用:

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                      いんふぃに亭                         

                                            41 11-NOV-1994 08:41

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         '93欧州見聞録(27) ヒースロー空港   F - F 11.11

 

    「世界中で乗降旅客数が最も多い空港は何処か?」と質問されたらどう答え

ますか? ケネディー空港/ニューヨーク か ダレス空港/ワシントン,それとも

ヒューストン か ロサンゼルス,ひょっとしたら成田空港かも知れない。 それが

実は ヒースロー空港/ロンドンが第2位以下を大きく引き離してダントツであり

ます。 このシリーズの第8回(Note5.49 F - F 3.4>)に書きました「英国航

空の頑張り」とも関係あるのかも知れません。

 

    ヒースロー空港はサービスの劣悪な空港として夙に有名です。 先ず,入国審

査を (1)英国人と (2)旧大英帝国と (3)その他に 3分類してその順に時間が長く

かかります。 時には外国人に税関審査が厳格を極め,徹底的に調べ上げます。ま

た,預けた荷物のスーツケースの錠をこじ開けて中味を荒らすドロボーの居るこ

とでも有名です(だから,ロンドンに入出国する際はスーツケースには施錠しな

い方が壊されなくて済むとの説もあります)。

 

    ターミナルビルが第1から第4まであり,それが無計画に(?)平面に配置

されていて,その分旅客には不便です。 旅客はリフトやエスカレータで縦に移動

させられるのはサービスが悪いとは思わないけれど,例えムービングウォークが

あろうとも横に移動させられるのはサービス不良と断じる傾向にあります。この

ことは羽田の新ターミナルビルを参照するとよく分かります。それがヒースロー

空港ではカートを引いて延々と歩るかされる,それも時には石畳の上をゴトゴト

と,または屋根の切れた所を雨に打たれながら,といった腹立たしい部分もあり

ます。 改良投資の遅れの咎めでしょう。 交通インフラを戦略的に拡充している

フランスとは好対照です(このことは来月書き込む予定)。

 

    昨秋の出張では,ロンドンで団の皆さんと別れて一人でコペンハーゲンへ向

かうべくヒースロー空港へ早めに着きました。 ビジネスクラスのラウンジで一休

みしてから免税ショッピングする作戦を立てたのですが,ヒースロー空港のラウ

ンジは免税ゾーンを通り過ぎた下流にあって旅客は逆流出来ない仕組みとなって

いました。 それでも私はそれを強行しようとしたのです。 つまり,先ずラウン

ジに座って飲み物で一服し,しかる後に免税ゾーンへ戻って買物をするのです。

逆流しようとする私を,背の高い制服の女性スタッフが押し止めてアッチへ行け

と指図しました。 それに従ってみますと,到着便の旅客の流れに飲み込まれて結

局もう一度英国に入国し,更めて出国手続きをする羽目になりました。

 

   「紳士の国では,不合理,非効率,硬直的な仕組みを墨守しているなぁ」と半

ば感心しました。 でも,免税ゾーンには以前は無かったデパートの "Harrods"

が進出したりして魅力を増す努力の跡も見えました。

 

                                                      (つづく)

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