2008.6.16

西村 三千男 記

 

連載「ドイツ化学史の旅・パート2のこぼれ話」

 

第17回 スリ? そして盗難事件

 

本シリーズの前々回、恥を忍んで告白した「第2の大失敗」の直後、一瞬・・スリ・・

掏られた・・か・・と思って、そう呟いてみた。藤牧さんは「土曜日の行楽地で、適度に

混雑してはいるけど・・他人と体がぶっつかる程でもないし・・。」と疑問を呈された。

結果は既報通りのセーフであった。

 

近年はドイツや北欧もドロボウ犯罪が増加しているそうだ。東ドイツの統合、東欧諸国

のEU加盟などで人々の流動化が進むに伴ってドロボウも流動化したのだろうか?電化の

F君は本年4月、ドイツ出張中に超特急ICEの1等車内で手荷物カバンを盗まれた。

ここで「化学史の旅のこぼれ話」からは大脱線となるが、そのケースをご紹介しよう。

 

F君は私の約20年後輩で、新入社員の時に私の部下、その後の仕事も私の軌跡を辿り、

複数のOB会の幹事も引き受けてくれているので、引退後も親しく交際している。そのF

君が、電化クロロプレン欧州会議に出席するため、デュッセルドルフからフランクフルト

へICEで移動中であった。同行の駐在員と会議資料を読み合わせに熱中していて、頭上

のラックから手荷物が消えたのに気付かなかった。その手荷物にはパスポート、航空券、

TCやカード類等大切なものが入っていた。幸い、その会議でフランクフルトに数日間

滞在するスケジュールであったので、滞在中に全ての再発行の手続き等が処理

できた。F君はニューヨーク駐在員の経験もあり、出張経験も豊富であったのでパニッ

クにならずに済んだという。

 

またまた古い話になるが1974年のこと、デュッセルドルフのヒルトンホ

テルで就寝中に盗賊に侵入された経験を、かって電気化学の研究所の掲示板に

ご披露したものをそのまま再録しよう。

 

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                        いんふぃに亭                         

:NISIMURA "DIRECTOR"                             27 lines  23-MAY-1991 17:22

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       私の失敗(5-1) ヒルトンホテルで盗難 〈Friday - Focus 5.24 号〉

 

  盗難と言えば ヒルトンホテル/デュッセルドルフで就寝中に賊に入られて金品を盗

まれた経験も有ります。

 

  あれは1974年,ECR の調査団で訪欧した時のことでした。 我が懐かしのデュッ

セルドルフに入り,新設のヒルトンホテルにチェックインすると部屋のダブルロック

が故障していて,シングルロックしか掛かりませんでした。 つまり合鍵では開けられ

る状態であったのです。 駐在員当時 極めて治安の良かった思い込みが有りますので,

ワインケラーで少々酩酊して帰り, 気にも掛けずにそのまま眠りました。

 

  深夜,喉の渇きかそれとも気配を感じたのか目が醒めてバスルームへ行こうとしま

すと,バスルームの入口の床に私のパスポート,航空券,財布,パスポートケース等

が整然と並べてありました。中身を調べたら,現金,トラベラースチェック,クレジ

ットカードは抜き取られ,名刺,ドキュメント類,東欧圏の通貨はそのまま残されて

いました。一瞬,何が有ったのか判りませんでしたが,事態が呑み込めると恐ろしく

なって立ち竦んだものでした。賊は合鍵で侵入して,私が寝ている傍で ゆっくりと,

しっかりと,仕事をしたのでしょう。若しも途中で目を覚まして騒いだら怪我をしたか

も知れません。

 

  事後処理をどうしたかは次回。

 

教訓1. 例え一流ホテルでもダブルロックは必要。もし不具合ならアッピールすべし。

 

教訓2. 多額の現金携行は避ける。多額携行の場合はホテルの金庫にデポジットする。

 

                                                      (つづく)

 

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                        いんふぃに亭                         

:NISIMURA "DIRECTOR"                              32 lines  30-MAY-1991 08:43

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         私の失敗(5-2) それからどうした 〈Friday - Focus 5.31 号〉

 

  盗難の一夜が明けると生憎の日曜日。 先ずホテルのフロントから警備係へ回されて

「気が付いた時どうして廊下まで追いかけて見なかったか?」「ダブルロックの不具

合をどうして最初にアッピールしなかったか?」などと尋ねられて不愉快でしたが一

応損害額を申告しました。次いで警察にも出向いて盗難届けを出しましたがこれにも

ホテル側のヘルプは無し。

 

  当座のお金は同行の仲間がカンパしてくれましたが,まだ旅行は始まったばかりで

トラブルに遭い,憂欝この上ない気分ではありました。

 

  クレジットカードの盗難届けはテレックスを書いて駐在員に発信依頼して,次の目

的地ブラッセルへ向かいました。

 

  トラベラースチェックは月曜日にブラッセルで申請して,水曜日頃アムステルダム

で再交付されたように記憶します。

 

  6ヶ月ほど経った或る日,ドイツの保険会社から手紙が来て「通常は現金盗難は保

険の対象にはならないが,貴方のケースは当時デュッセルドルフに大窃盗グループが

侵入して被害が続出していたことが証明されたので,ホテルの保険求償に応じて貴方

の申告被害額を弁済する」として小切手が同封されておりました。 カンパをしてくれ

た仲間には,忘れた頃になって 事情説明しながらお返しして廻りました。

 

教訓3. TCの使用メモはキチンと書いて TC とは別に保管すべし。TC はデータが揃っ

        ていれば,割と迅速に再発行される。

 

教訓4. カードの紛失届けに必要なデータ(カード番号,届けるFAX番号など)は手帳

        などに書きとめておく。 

 

教訓5. 現金の盗難でも諦めないで警察に届けておく。

 

                                                     (おわり)