2008.6.10

西村 三千男 記

再編「ポコポコ・イタリアーノ」

 

第14話 「いよいよ開通、悲願のイタリア新幹線TAV」

 

 イタリア鉄道FSにも新幹線網(正確にはTAV(Treno alta velocita)=高速列車と

称する)の計画がある。その歴史は意外に古く、フランスのTGVより先行していた。世

界で日本に次いで第2番目、ヨーロッパでは最初に部分開業している。ローマ〜フィレン

ツェ間が早期に供用開始したが、諸般の事情から基幹部分の建設計画が遅々として進まな

かった。2006年のトリノ冬期オリムピックに合わせて、ミラノ〜トリノ間も部分開業

したが、フランスのTGV,ドイツのICEに較べて、話題性に乏しく、現地でも取りあ

げられることは稀であったらしい。日本のメディアに紹介されることも少なく、日本では

あまり知られてもいない。

 

今回ここに紹介する動機は、例によってNHKのTVイタリア語テキストの大矢アキオ

氏のコラムに触発されたことによる。大矢アキオ氏は前にも本HPに紹介したシエナ在住

のコラムニスト。(続々「ポコポコ・イタリアーノ」第19話(最終回)悪名高いイタリ

アの郵便事業 http://isomers.ismr.us/isomers2007/italiano619.htm)。2月号テキスト

に高速新線TAVの最新ニュースとして、「いよいよ開通、悲願の新幹線」ミラノ〜ボロ

ーニャ間が今年中に開通する見込みとなったことを載せている。併せて、トリノ〜ミラノ

間のTAV試乗記をも。

 

 TAV路線網の全体

 イタリア半島を縦断するミラノ〜ボローニャ〜フィレンツェ〜ローマがTAVの基幹部

分である。基幹部分から、さらにトリノ、ヴェネツィア、ナポリ等への延伸も計画されて

いる。下表に所要時間の短縮予定をまとめた。

 

路線

従来路線の所要時間

TAVでの所要時間

トリノ-ミラノ

1時間30

50

ミラノ-ボローニャ

1時間42

56

ボローニャ-フィレンツェ

59

30

フィレンツェ-ローマ

1時間35

1時間20

ローマ-ナポリ

1時間45

1時間05

出典:Des trajets plus rapides

 

フランスのTGV,ドイツのICEなど他のヨーロッパ諸国の高速新線との国際ネット

ワーク形成ももちろん考慮されている。

 

既に供用中の区間

l         フィレンツェ〜ローマ間は1977に部分供用が始まった。ヨーロッパ最初の新幹

線であった。フランスのTGVのパリ〜リヨン間開業はその4年後、1981年で

ある。Direttissima(ディレッティシマ)と愛称されている。「真一直線」を意味

するイタリア語である。「ペンドリーノ=振り子」の名前で知られるフィアット製

の電車はここでデビューした。2004年号の当HPに紹介した ES (ES star

イーエススター) 正式名称「EURO STAR Italia」はその後継である。

(続「ポコポコ・イタリアーノ」第11回 ユーロスターの本家はどっち?

(http://isomers.ismr.us/isomers2004/italiano111A.htm)

l         大矢アキオ氏が今回試乗したのはトリノ〜ノヴァーラ(ミラノへの途中)間である。

この区間はトリノオリムピックにあわせて2006年2月に部分供用を始めた。途

中から「井の頭線のごとく、民家の軒先をかすめて走った・・・」と述べているの

は、未供用部分は在来線に乗り入れているからである。

 

 建設が遅延する理由

l         日本と同様に沿線の反対運動が激しい。

l         資金不足。

l         地形的ネックとして、期間線区間のボローニャ〜フィレンツェ間にアペニン山脈が

聳えている。

l         余りにも長期にわたるために、その間の技術進歩が基本設計の変更(電源電圧や直

流/交流)までも余儀なくされている。

 

(以下次回)