2008.9.3

西村 三千男 記

再編「ポコポコ・イタリアーノ」

 

第15話 グラッパの生まれ故郷

 

当HP2003年号で「グラッパ」を巡って中村さんと西村がちょっと「掛け合い」を

したことを思い出した。西村が「グラッパは粕取りブランデー→カストリ焼酎→カストリ

(エロ)雑誌」と連想を述べたら、中村さんが「グラッパを飲んで気分がよくなると、カ

ストリ焼酎の話を聞かされても、遠い、遠い国の話のようで・・・」と、頷けない気分を

吐露されたのだった。

 

 いま、これを想起するのは理由がある。NHKテレビイタリア語講座が、先般、グラッパ

の生まれ故郷の小さなコムーネ(市町村)で現地ロケしたモノを放映した。その場所とは

ヴェネツィアの北西約100km、ドロミテ渓谷の麓にあるバッサーノ・デル・グラッパ

(Bassano del Grappa)である。グラッパの原料はワイン製造のブドウの搾り粕である。イ

タリア全土のワイン産地でグラッパも生産されているが、なかんずく当地は「グラッパの

生まれ故郷」であり、「グラッパ博物館」があり、1779年創業の老舗グラッパ販売店

が現存している。グラッパで町興しに取り組んでもいる。

 

 番組では、今年のイタリア語講座ホステスであるモニカ嬢(グラマー美人)が、老舗グ

ラッパ販売店のイケメン社長アントニオ・ナルディーニの案内で、販売店内で立ち飲みを

トライし、(博物館に展示された)歴史的な実物の製造プラントを見学した。グラッパの

始まりは、矢張り貧しい農民が、身近な原料を使って、自分たちで飲むために作りだした

「粕取りブランデー」であると説明された。次第にその製造方法は整備された。やがて導

入された銅製単蒸溜器の1848年の実機が博物館に展示されている。溜出ラインにはオ

ンラインの比重計(浮きはかり)が組み込まれている。蒸溜中に比重を計りながら、アル

コール濃度の低い初溜分(番組では「頭」=la testa)と終溜分(番組では「尾」=la

coda)をカットして、中溜分(番組では「胴」=il cuore)だけを製品化する。

 

この街のバールでは、グラッパ入りのケーキが供される。

しめくくりのコーヒーには滴々と・・・ではなく、ドクドクと・・・グラッパを注いで

caffe corretto」として喫する。

そして、老舗販売店のカウンターのプレートの格言は、

「人生を大切にする人は、適量を飲み、良きものを飲む」

Quei che alla vita tiene beve giusto e beve bene

と書かれている。

グラッパは「良きもの」なのである。

(以下次回)