2008.2.27

西村 三千男 記

 

書評の前書き

 福岡伸一著「生物と無生物のあいだ」(2007年5月、講談社現代新書)

 

この本は山本經二さんから紹介された。寡聞にして、この本の評判も、著者のことも知ら

なかった。並のベストセラーにあらず。本書を読む前から、そして一読して驚くことの数々

を発見・・・それらを「書評の前書き」としてご披露する。

 

驚き:その1

買い求めに行った書店(紀伊国屋玉川店)の売り場で特別扱いされていた。売れ筋の本は

新書版でも普通は平積みされる。この本は売り場の目立つ太い中柱に3X4の12冊を行列

状に展示してあった。本の帯カバーには「40万部突破!」を誇り、よしもとばなな氏、幸

田真音氏など多彩な顔ぶれの販促メッセージが付いている。本の中味は高いレベルの科学・

バイオ・テクを扱っているが、下記の「驚き」2件とも併せ、理系の基礎知識のない人々も

幅広く読者(推薦者)になっている。

 

驚き:その2

買い求める際、ちょうど発売直後の文藝春秋三月特別号(芥川賞受賞作を全文掲載)を併

せ購入。帰宅して、どちらも早く読みたいけれど、どっちを先に読むか迷う。読む順番を決

めるために、先ず新書の序文(この本では「プロローグ」)と文春の芥川賞受賞作家インタ

ビューとを読んだ。驚いたことに、インタビューの中で受賞作家・川上未映子氏が缶詰にな

っていた執筆室から抜け出して、まだ1枚も書けていないのに喫茶店に日参して、福岡伸一

さんの「生物と無生物のあいだ」を読んでいたと告白しているのである(p.351)。

 

驚き:その3

新書を読み始めたら、著者の巧みな語り口にぐんぐん魅せられて途中ではなかなか止めら

れなくなった。読んでいる傍でNHK教育TVが「視点・論点」を放映中であった。本にブ

ックマークをして、暫時TVを視聴する。偶然のシワザに驚いた。その日のテーマは「日本

再確認・倫理」、論者は同志社女子大客員教授・朱捷氏であった。和辻哲郎の人間(ニンゲ

ンではなくジンカン)倫理学と福岡伸一著の「生物と無生物のあいだ」の中で生命現象の動

的平衡を説明するのに述べられているジグソーパズルの相補性とを対比して解説されるでは

ないか。氏は中国出身の知日派学者で専門は比較文化論であると後で知った。その日の「視

点・論点」の文脈を見るには次のURLを参照。

<http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/7083.html>

 

(書評につづく)