今年の秋の旅行         中村省一郎       12-17-2008

 

吉田山荘でのアイソマーズ総会ではアイソマーズ諸氏との久しぶりの再会が楽しかった。私にとってこれでアイソマーズ総会に3回出席したことになる。会の後、夕暮れの吉田山の山道を20人ほどで一緒に大学まで歩けたのも良い記念になった。あのあたりは昔の雰囲気がそのまま残っているのが嬉しい。大学の正門を入ったところのカフェテリアで、店の人に怒られながらではあったが試作品の味見をしていただいた。あれは実は名のつけられない酒であった。その理由は、法律では焼酎のアルコール度は45%までと決められていて、困ったことに、それ以上のは焼酎の定義の中に入らないのである。

 

木下さんからは「エンジニア」の作った酒との酷評をいただいたがこれも有難く拝聴した。言われればそのとうりで、丸みがない。その理由は、薄めることを一切してなく、非常にきついことを特徴としている。素人の癖に、グラッパやコニャックのようなものに焼酎でなぜ対抗できぬか、というようなつっぱった考えを持っていたせいであろう。

 

実は今回の旅行にはアイソマーズ総会のほかにもう二つのテーマがあった。そのひとつは鹿児島で焼酎の調査をすること、あとの一つは高校の同窓会であった。

 

そのため東京へ着くと娘のところで一晩過ごした後、次の日は家内と鹿児島へ向かった。鹿児島大学農学部焼酎学科訪問と醸造所訪問である。

 

鹿児島大学では研究室見学の後、試作品を三種類につき専門的な味見をしていただき、「これで良い」というお墨付きをいただいた。専門家的な味見の後、グラスで飲んでおられた。その日の午後はこれも友人の手配で、鹿児島市内の白金坂にある焼酎醸造を訪問し、見学のあと味見をしてもらい、たいへん好評。次の日曜日は霧島温泉、月曜日は阿久根市の焼酎醸造所訪問。ここでも「よし」、そこの原酒をいただいた。これは「蔵純粋」と銘打ってあったが私のに非常に近い。

 

京都では、武山さんが四国の四万十川流域で作られた栗焼酎を一本買っておいてくださった。これは四万十川近くの洞窟で四万十時間寝かせたもので、味と香りがは非常に芳醇、少し苦味かあって、他の焼酎とは全く異なった酒であった。旅行の目的にかなった贈物をいただき大きな参考になったことが何よりも有難かった。

 

今回の旅行でわかったことは、これまで蒸留を簡単に考えていたが、同じ単蒸留でも扱いによって味の変わることである。その理由は、酒の蒸留は多成分混合物の蒸留であり、蒸留中に温度が変わって行き、その温度により蒸留生成物の内容が変化するためである。船坂先生から習った蒸留法では単純すぎる。

 

また、以前に読んだ本では、焼酎は熟成の効果はないと書いていたが、これはとんでもない間違いで、熟成の効果はありその効果が理解できた。さらに、どんな焼酎の味が好まれるかも理解できたように思う。素人ながら、ここまで専門的な知識が得られたことが不思議な思いある。しかし、これを踏み台に今後追求していきたいテーマもいくつもできた。命は何年あっても足りない思いである。

 

アイソマーズ総会の次の日は高校の同窓会が比叡山であり、卒業以来はじめて出席した同窓会であった。大阪の有名高校の卒業74年目の同窓会であり、これまた有名人も多く実りの豊かさを感じさせられ、圧巻のひと時であった。

 

次の日、関西空港から帰途についた。多くの友人たちに支えられた有意義で満ち足りた旅行であった。