2009.1.12

西村 三千男 記

再編「ポコポコ・イタリアーノ」

 

第16話 イタリア新幹線に試乗

 

2008の歳末旅行でイタリア新幹線に試乗の機会を得た。試乗したのはフィレンツェ

〜ボローニャのごく短い区間(約100km)であったが、従来の高速列車ESと車両

も速度も殆ど同じであった。このESについては、2004年号の続「ポコポコ・イタ

リアーノ」「第11回 ユーロスターの本家はどっち?」で紹介している。

 

タリア新幹線の計画と着手は、世界で日本に次いで2番目、フランスのTGVよりも

早かったのだが、各地、各路線で細切れ開発されていて供用が遅れている。この辺の事情

はこのシリーズの前々回、第14話 「いよいよ開通、悲願のイタリア新幹線TAV」

も述べた。旧臘2008年12月14日から、イタリア鉄道会社(FS)の高速鉄道網の

新線開業、新型車両投入、時間短縮のためにダイヤ改正が行われた。私たちの家族旅行は

偶然ではあるが、その直後に当たり、試乗のチャンスと思われたのである。

 

ヨーロッパ旅行を計画〜準備する際は毎回「トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表」

を克明に調べる。この時刻表は同じ版元(ダイヤモンド社)から出版されているシリーズ

「地球の歩き方」と連動している。この時刻表の日本語版は、以前は年に4回発行されて

いたが、現在は年2回(6月と12月)である。今回参照したのは「冬ダイヤ掲載号」で

2008年12月14日から有効のものであった。時刻表を子細に調べるのは楽しみでも

ある。

 

今回のダイヤ改正の目玉は新幹線TAV(Treno alta velocita)網の充実である。時刻表

ではAVと表記される。手持ちの旧版時刻表(2007年夏号)ではAVはローマ〜ナポ

リ間にのみ供用されていた。注目は、大動脈である幹線ミラノ〜ローマ間(630km)

に新型車両を投入し、部分的には新線を採用して、ノンストップ3.5時間を供用開始し

たことである。これで、従来よりも約1時間短縮されたことになり、将来的には更にもう

1時間短縮して2.5時間程度を目指しているという。ノンストップとは、ボローニャに

もフィレンツェにも停まらないということ。東海道新幹線に例えると、名古屋(ボローニ

ャ)とばし、京都(フィレンツェ)とばしで東京〜大阪を直結するイメージである。

 

 さて、試乗したのは列車番号「AV9438(14:19 Lv. Firenze 15:20 Ar. Bologna)

あった。プラットホームへ行くと私たちの乗る列車のボディーには Euro Star Italia

大書されていた。乗りこんだ1等コンパートメントはこれまで経験しているESと何も

変わらない。帰国、帰宅してから、旧版の時刻表と比較検討して事情が判明した。旧版に

は、私たちの試乗した列車は「ES9438」として掲載されていた。同じ列車番号で「ES」を

AV」に書き換えたのであろう。この列車はミラノ〜ボローニャ間の時間を大幅短縮して

いるが、ボローニャ〜ローマ間の所要時間は旧来のままである。イタリアの高速鉄道網の

整備は過渡期にあると云える。特に、前々回も触れているがボローニャ〜フィレンツェ間

に聳えるアペニン山脈が最大の難所と言われる。ボローニャ駅も現在駅へ接続するのでは

なく、最終的には地下化されるとのウワサも聞く。今回の試乗で、ボローニャへの途中、

アペニン山脈を越える辺りの車窓風景は雪景色であった。2008年12月28日のこと

である。その日、フィレンツェもボローニャも大いに寒かったけれど雪ではなかった。

 

 今回のTAV試乗は、実質的に試乗にはならなかった・・・ということである。

 

(以下次回)