日経新聞連載 人間発見『テルモハート会長 野尻千里さん』 を読んで

武山高之

 

西村さんが、中村さんの日経サイエンス 200012月号巻頭言「医療と科学を変えるBioMEMS」を思い出したはずみで、野尻千里さんの人工心臓の記事を興味深く読みました。有名な方ですので、お名前はよく知っていますが、面識はありません。

私たちより17歳下で、1世代若い研究者です。

私は人工腎臓・敗血症治療カラム(吸着システム)・人工血管をやっていましたので、人工心臓は詳しくありませんが、同じ人工臓器の分野なので一応の知識は持っていました。

ただ、退職して10年。最近の進歩にはついていっていません。

立派な成果ですね。敬意を表します。

 

脈動型人工心臓・非接触型回転子の他の分野での利用、テルモ株式会社に関する思い出もいろいろありますが、今日は新聞連載にある2枚の写真の感想を書きます。

 

3 W.J.Kolff先生とのツーショット写真

人工臓器の研究者・技術者でユタ大学のKolff先生を知らない人はいません。人工臓器に研究の先駆者で、アイソマーズの化学者にとっての、リービッヒのような人です。人工腎臓と人工心臓のパイオニア的研究をされた方です。

この写真は、野尻さんが37歳の時、78歳のKolff先生という大変偉い方とのツーショットです。記事の中に、

「大変可愛がっていただき、アメリカのお父さんのような存在でした。」

とあります。

日本人の女性は、若く見えますので、お祖父さんとお孫さんのように見えますね。野尻さんもお祖父さんに甘えて、コルフ先生も可愛い孫と言う感じですね。

 

 10数年前に私は、東レ・ニューヨークに伝手があったヒューストン・ベーラー大学 DeBakey先生のところへ、日本の有名な血管外科医とご一緒したことがあります。DeBakey先生はKolff先生と同世代。心臓外科のパイオニア的な大変偉い方でした。ご一緒した日本の先生は、先生の前で大変緊張されていたことを思い出します。

 それとは対照的に野尻さんはリラックスされています。女性であることで苦労された野尻さんもこの時ばかりは、女性である強みを発揮しているように思います。男性なら、こんなに可愛がってくれないでしょう。

 

4 小さいお嬢さんとの写真

 この写真を見て、思い出したのは元・物理学会会長の米沢富美子さんのことです。『二人で紡いだ物語』に書かれている子育てをしながら、研究を進めている米沢富美子さんの姿が、野尻千里さんにダブッて見えてきました。