サンドナト村での朝食

 

その夜泊まったB&Bでは、翌朝、持ち主の夫妻がやってきて、二人とも英語をよく話し、「この宿はまだ始めたばかりで、あなた方は二組目のお客です」と言いながら、すばらしい朝食の用意をしてくれた。非常に上等の生ハム、ソーセージ、絞りたてのジュースも非常に旨かった。その上、我々のためにと、林檎ケーキも焼いておいてくれた。旦那のほうの本職は配管工事であるといっていたが、このB&Bはアパートを買い取り、自分で内装を全部やり代えたと話した。建物は7~8世紀も前の建築で、壁、床、天井は石つくりであり貧乏な百姓の住んでいたアパートだったそうだが、現在は洗面所や風呂場など非常に現代的で、冷房も完備していた。奥さんのほう(マラスピーナの従業員でもある)はタイから来たといっていたが、非常な働き者であることはすぐにわかった。

 

旦那は、私がグラッパに興味を持っていることを知ると、このあたりでもグラッパの蒸留所があるといいながら、電話をかけてくれたが、土曜日は何処も開いていないので訪問できないことがわかった。彼の最も好きだというグラッパを一本持ってきて、これを持ってゆけと呉れた。

 

その朝の話で、昨日はフィレンツェからの迎えは来ていたことがわかった。小さな村のことで、ここの旦那は知っていたのである。ただし、10時ではなく非常に朝早かったという。そして我々がサンドナトで泊まれずサンブーカに行ったと聞いて、そちらに行ったというのであったが、それ以上のことはわからなかった。しかし、このような行き違いのないように、マラスピーナB&Bで部屋がないと言われたとき、実は次の日にフィレンツェから迎いが10時に来るので、もし早めに着ても、そこで待っていてくれるよう伝言して貰えるようたのんだのだが、女主人は「そんなことより、あんたの今夜の泊まるところが心配だ」といって、サンブーカからきた薄汚い車の女のところへ連れて行ったのであった。

 

これがもし、カウンターのあるホテルなら、仮に客が泊まれなくてもこのような伝言はちゃんとしてくれるであろう。

 

その2日後フランスで一泊することになるのだが、そこでこの話をしたら、「まったく、イタリアらしい混乱ぶりね」と評した。