ボケの顛末、マルメロ、カリン、ママレードの語源に迫る

 

ボケのジャムをぜひ手に入れたいと思っていたが、その願いは意外に早く満たされた。というのは、週末に韓国食品店に寄った折に韓国製で「木瓜茶」と書いてあるビンが「ゆず茶」のビンと並んでいるのが見つかった。中身はどうもジャムのようなので、売り子にこれはママレードのようにパンにつけて食べられるかと聞いたら、首を横に振って、絶対に出来ないと言い張る。そこで、隣においてあったゆず茶に関して同じことを聞いたら、それは出来るという。では「茶」というのはどういう意味かとたずねると、湯で薄めて飲むことだという。

 

「木瓜茶はママレードのようにパンにつけて食べられない」ということがどういう意味かよくわからなかったが、ともかく買ってみた。1L入っていて1ビン9ドル位だから、普通のジャムより50%くらい高めといういところだろう。好奇心を満たすためには、もし捨てることになっても高くはない。

 

家に持ち帰って、ビンをよく見るとkalynとも書いてある。カリンといえばカリン酒などとして名は聞いたことがあった。開けてみると、確かにジャムのような味であるが、木のかけらかと思われるようなものが無数に混じっていて、堅くてたべられない。売り子の言ったと売り、パンにつけて食べられないはずだとわかった。木片のようなものは木瓜の実を刻んだものに違いない。しかし、小さな金網のざるに入れて濾しとることが比較的簡単に出来た。濾しとった液体は粘性の非常に高い液体であったが、ママレードとしては流れすぎて扱いにくかった。

 

そこで、湯煎にしながら無味のジェロを加えてママレードくらいの堅さにした。もしその味が悪かったら、努力もここで打ち切りにするつもりだったが、驚いたことにはその味は、酸味があり香りが高く、これまで食べた種類のどのジャムやママレードよりも旨かった。というわけで、韓国の木瓜とは何か、kalynとは何かなどを調べ続けなければ気が済まぬことになった。

 

日本語で「木瓜」と「カリン」の検索をしたが、「マルメロ」という言葉も出てきて、これら三つの言葉が交錯している上にあいまいな記事も多く、ほぼ丸一日の時間がかかったが結論をまとめると次のようになる。

 

木瓜と書くと、前の記事で写真入で紹介した二種類の植物、つまりJapanese quinceJapanese のつかないquinceが関係している。中国と韓国では両方を木瓜と書くが日本では木瓜をぼけと読み、Japanese quince(オレンジ色の花が咲く)だけを意味する。日本ではJapanese のつかないquinceはカリン(花梨)と呼ぶ。日本ではカリンはマルメロ(英語ではmarmelo)とも呼ばれ、花はピンクか白である。前にも書いたように、前者の実は林檎の形に似ているが、後者は西洋梨、あるいは瓜に似ており、秋に日本の八百屋でも売っているらしい。

 

ジャムを作る観点からは、Japanese quinceJapaneseのつかないquinceの違いはほとんどないに等しいようで、どちらも石細胞がおおく堅くて生では食べられないが、ジャムやママレードにすると旨く、また果実酒の材料として西洋でも東洋でも使われている。

Quinces are used to make jam, jelly and quince pudding, or they may be peeled, then roasted, baked or stewed. The flesh of the fruit turns red after a long cooking time. The very strong perfume means they can be added in small quantities to apple pies and jam to enhance the flavour. Adding a diced quince to apple sauce will enhance the taste of the applesauce with the chunks of relatively firm, tart quince. The term "marmalade", originally meaning a quince jam, derives from "marmelo," the Portuguese word for this fruit.[4][5] The fruit, like so many others, can be used to make a type of wine.

 

韓国人の店では、木瓜茶は絶対にママレードにはならないといわれ笑われたのであるが、なんと、マルメロ(marmelo)は実はママレード(marmalado)の語源なのである。さらに詳しくは、

According to the Oxford English Dictionary, "marmalade" appeared in English language in 1480, borrowed from French marmelade which, in turn, came from the Portuguese marmelada. According to José Pedro Machado’s Dicionário Etimológico da Língua Portuguesa[4], the oldest known document where this Portuguese word is to be found is Gil Vicente’s play Comédia de Rubena, written in 1521:

Temos tanta marmelada

Que minha mãe vai me dar um pouco[5]

In Portuguese, according to the root of the word, which is marmelo, "quince", marmelada is a preserve made from quinces, quince cheese. Marmelo in turn derives from Latin melimelum, “honey apple[6] Marie turn derives from Greek μελίμηλον (melímēlon)[7].

In 1524, Henry VIII received a "box of marmalade" from Mr. Hull of Exeter[8]. As it was in a box, this was likely to have been membrillo, a quince paste from Portugal , still made and sold in southern Europe. Its Portuguese origins from marmalado can be detected in the remarks in letters to Lord Lisle, from William Grett, 12 May 1534, "I have sent to your lordship a box of marmaladoo, and another unto my good lady your wife" and from Richard Lee, 14 December 1536, "He most heartily thanketh her Ladyship for her marmalado".[9]

ママレードの広い意味は、果実の砂糖煮にジェロを加えて固めたものを意味し、ヨーロッパの多くの地域では柑橘類には限らず、どんな果実からもママレードをつくる。現在日本やアメリカでのママレードは柑橘類の皮に砂糖を加えて煮込んだものだけを指す理由は、これは英国で始めたもので、英国式のママレードだけが知られるようになったためである。

 

中村省一郎  12-12-2009