2009.12.26

西村 三千男 記

 

 

お餅の話題(杵つき餅、パック餅、鏡餅、カビ)

 

日本の12月はお餅の季節である。

 

「ためしてガッテン」

NHK総合TVの人気番組「ためしてガッテン」は去る12月16日に「つきたて

の味に変身!パックのもちで至福の正月を」を放映していた。これまでの一般常識や

私の偏見、思い込みを覆す数々の情報が含まれていた。

l                  パック餅はクリーンルームの中で(テフロン?コーティングされた)臼と杵

で自動餅つきされていることに先ず驚いた。つき上がった餅は人手に触れずに、

冷却、成形、パックされる。

l                  これまで私が想像していたのは、それとは違ってニーダーや押出機の様な機械

で無理やり混合〜攪拌する方法であった。下記した家庭用餅つき機「もちっこ」

の体験や老舗和菓子チェーンK堂から毎年大晦日に購入する鏡餅の経験がベース

にある。

l                   「パック餅はコシがない、早くひび割れする、早くかびる」と誤った思い込み

を抱いていた。杵つき餅よりも捏ね不足だろう、粘着防止のために水を多めに使

うだろうなどとその原因を想像していた。番組中で紹介された工場ではクリーン

ルーム内の各工程で水分の管理(43%)、コシの官能検査も行われていた。

 

 

我が家の近年の鏡餅

 どこの家庭でも大晦日に大掃除が終わると、鏡餅を飾る。我が家では老舗和菓子チェーン

K堂から小ぶりの重ね餅を購入するのが恒例になっている。

l                   これが翌日にはひび割れする、数日で重ね部分にカビが生ずるのである。お店で重ね部分

に敷く防カビシートを添付してくれるが効き目がない。飾る前に重ね部分を食酢で滅菌する

ことも試みたがほぼ無効であった。

l                   子供の頃の自家製の杵つき鏡餅は鏡開き(1月11日)や小正月(1月15日)の頃まで

カビは出なかったように記憶している。

l                   昨年(2008)年末は12月24日から海外旅行に出かけた。やむを得ずK堂の鏡餅で

はなく、スーパーで12月中旬から早々と売っているパック餅の鏡餅を飾って出かけた。そ

の結果、鏡開きにひび割れもカビも無かったが気にも留めなかった。パック餅の品質の進境

に思い及ばなかった。

 

田舎のお餅を進物にしたら・・・

伝統的な杵つき餅は、今風の市販のパック餅よりも風情があるし、「コシがあって、

ヒビ割れも、カビも出にくい」という頑迷な信仰から、糸魚川産の田舎の杵つき餅を

ちょくちょく進物に用いている。今年、初めて贈った親しい友人が「届いて6日目に

カビが発生した」と教えてくれた。他の人に問い合わせたら、昨年までも時々カビは

発生していたと云う。カビ騒動である。以下は事実半分、想像半分。

l                  私たち自身は、毎年、田舎の個人から杵つき餅が到来するので、鏡餅以外の餅

を買う機会が無い。そのため、パック餅の著しい技術進歩や品質向上を認識して

いなかった。

l                  個人から到来する餅はやがてカビが出るので、到来したら直ぐに冷凍庫に入れ、

早く食べる当用分だけ、冷蔵庫に入れていた。

l                  品質向上したパック餅に慣れ親しんだ人々は、餅のカビに無防備なのであろう。

開封するまでは、かびないという前提で、冷蔵庫ではなく、冷暗所に保管する。

l                  同じ理由から、田舎の餅が12月中旬に届いても、お正月まで冷暗所に保管で

きると思ってしまう。

 

 

家庭餅つき機T社の「もちっこ」

新潟に勤務し、住んでいた頃は、鏡餅も季節の餅も近くの親戚、知人から自動的に到来した。

今から約20年前、我が家は私の初の本社転勤にあわせて東京に住むことになった。その頃、T

社から家庭用餅つき機「もちっこ」が発売され、テレビでも頻繁に宣伝されて一種の社会現象と

なっていた。我が家も新鋭機種を購入した。もち米を新潟の田舎から取り寄せて、12月に限ら

ず何時でも、自宅で「餅つきパーティ」を催せるようになった。その頃、中学生であった次男は

「餅つきとつき上がった餅の成形」のエキスパートになった。

 この「もちっこ」は「むす・つく・こねる」がセールスポイントとして宣伝されていた。洗っ

たもち米を仕込んで、スィッチポンすれば一連の自動操作で「蒸して、つきあげ」てくれる。実

は「つく」のではなく、下部に備えた攪拌翼で「こねる」のであった。つき上がった餅は伝統的

な杵つき餅に較べるとコシが劣っていた。

 やがて、次男も我が家から巣立って夫婦二人暮らしになると「もちっこ」の出番は急速に減り

やがて姿を消した。

 

子供の頃の風景

私は滋賀県の田舎で生まれ育った。何でも自給自足する生活の一部をアイソマーズ

通信2003年号に「自給自足生活(http://isomers.ismr.us/isomers2003/jikyuu.htm)

に書いたことがある。その中では触れていないが、お餅も勿論自給自足であった。

l                  歳末の餅つき日は12月28日か30日と決まっていた。28日以前では早過

ぎる、29日は9の日を忌み嫌う、31日では遅すぎるとされていた。暮らしに

余裕(時間的に、経済的に)のある年は28日を、追われている年には30日を

餅つき日としたのである。

l                  私の生家では1バッチが2升(約3kg)を小臼、3升(4.5kg)を大臼

と称していた。そして餅つき日には、一日かかり、一家総出で10バッチ以上を

仕上げていた。

l                  鏡餅、丸餅、切り餅、粳米との混ぜ餅もあった。丸餅はお雑煮用である。雑煮

用には刃物を使う切り餅を避ける習慣があった。

l                  長期に保存する「アラレとカキモチ」は1月下旬か2月上旬の最も寒い時期に

もう一つの餅つき日を選んでいた。カビを避ける工夫であった。

 

                                 (以上)