6.天体の磁気

 

磁気は人間の生活とは切り離せない。電動力はすべて磁気にたよっている。また磁石そのものが数多くの場所で用いられている。地球の磁気による磁石の動きは航海の羅針盤として何世紀も使われてきた。ところがなせ地球には磁場があるのかの説明については、21世紀の現在も全然ないに等しい。

 

はっきりわかっていっることは、地球の磁場の極は、自転軸の極の非常に近くにある。そのために、磁場は自転と関係があるらしいこと位であろう。

 

地球の磁場を説明する説はいくつかあって、(1)地球永久磁石説。地球には鉄分がおおい。金属鉄および酸化鉄の粒は大なり小なり磁性をおびている。それが集合的に地球全体では大きな磁石となるとする説である。しかしこの説の弱点は、計算では鉄分の磁性を合計しても地球の磁性の大きさには足りないこと。鉄分もキュリー温度以上になると、磁性を失い、地球のキュリー温度以下の部分は4分の1しかないこともその理由の一つである。さらに、地球の磁性の極の位置は一定せず常に変化しており、極端な場合として7800年前、磁性の極が反転した。これは永久磁石説では説明できない。

 

(2)地球ダイナモ説。地球の内部は伝導性がある。そして大量の電流が自転方向あるいはその反対方向に流れているとする。これは説得力があるが、なぜ電流が起こるかについての説明はされていない。

 

(3)地球内部のマグマが流れるとき、磁気がおこるとする説。この説の問題点は、なぜ伝導性の流体が流れると磁気が発生するかについての物性的説明がされていないことである。

 

(4)地球の中心には核分裂をおこす原子炉がありそれが熱と電力をおこしているという説。

 

(5)神が6000年前に、地球に時期が出来るように、物性の性質をきめ、それは、どの物理理論とも矛盾しないという説。

 

(1)(4)(5)はこれ以上考える価値がないと判断する。(2)と(3)は19世紀にすでに提唱された説であるが、以来何の進展もしていない。だから地磁気に関する理論は非常に初歩的な段階から進歩していないのである。しかし、(2)と(3)はさらに追求する価値のある説であろう。

 

関連して特筆すべきこととして、米国およびヨーロッパの研究所で、伝導性の液体を回転させて磁気が発生するかの実験をしている。最初に成功を発表したのは、ヨーロッパのグループで、実験はフランスのカダラーシェ原子力研究所(マルセーユから北へ約100kmの場所)でおこなわれた。装置は円筒の容器の両側に羽根突きの回転盤をつけ、中に液体のナトリウム金属をいれ、円盤を異なった速度で高速回転させる。中の液体ナトリウムは乱流の回転運動をする。そして、回転数が増すと磁気が発生したという。アメリカの二箇所の研究所でも同様の実験をすすめているが、成功の報告はいまだにされていない。

 

フランスの実験で、伝導性の液体を回転させると磁気が発生することは証明されたわけであるが、なぜ伝導性の液体を回転させると磁気が発生するかの理論的な理由はわかっていない。 

 

これ以降、私見を述べる。

 

伝導性の流体内の電子が、流れの性質たとえば渦とかせん断応力に反応して電流を生じることはあるえることであると思う。たとえば絶縁物をこすり合わせると、高圧の静電気が発生する。これは電子が絶縁物の中を動くためであろうが、伝導性の液体でも良く似たことがあってもおかしくないと思う。しかし、そういう研究はされていないと思う。液体ナトリュームを円筒のなかで回転させて磁気を発生させたというのは、良い進歩であるが、さらにはもっと簡単な流れの場での電流発生や、磁場の発生の研究が必要であろう。乱流で磁場が発生するなら、クエット流のようにもっとも単純な流れの場でも電流や磁場が発生するはずであるから、そのような研究がなされれば、理論的な解析が容易になるであろう。 

 

伝導性ではあるが2個の異なる金属を接触させると、電位差が生じることは良く知られ、サーモカプルとして利用されている。pnジャンクションやペルチエジャンクションによる電位発生も良く知られている。伝導性の液体の性質が一様でないときも電位差の分布が出来るのではないだろうか。また、同じ物質による伝導性流体でも温度差により電位差が生じるのではないか。地球内部には、温度差あるいは温度勾配の大きところはたくさんあるし、また物質が場所により変化することはいくらでもあろう。だからそれだけでも、電位差が出来、電流の分布がおこる可能性があるとおもう。しかし、そのような議論はこれまで読んだことがない。

 

さて、マグマはなぜ電導性を持つかについても、従来の議論には納得できないことがある。これまでに読んだ説明では、地球の内部には鉄とニッケルの成分が多く、それが溶けると伝導性の流体になるといういのだ。しかし、鉄とニッケルが多いといっても、金属の形で存在するのではなく、イオウ化合物とか酸化物として存在しているはずで、いくら高温で溶けても、すぐに伝導性になるとは考えられない。

 

いっぽう、珪素の酸化物または化合物であるシリカやセラミックのごとくまったく絶縁性の物質でも、高圧(確か1000気圧以上)では原子間の距離がちじまり、近傍の原子の外郭電子の軌道が重なりあうために、伝導性になる。このことを考量して地球の磁性を論じている資料が全然みあたらない。唯一の例外は、以前に書いた、木星の中心近くの金属水素である。地球のマントル内では、1000気圧以上になるから、鉄やニッケルがなくても容易に伝導性になると考えられる。

 

以上は素人的な意見であるが、的をついている可能性もあると思う。専門家といわれる人たちが意外と見落としていることもあるからである。

 

余談であるが、最近こんなことがあった。米国で被害の大きい旋風に関し旋風の専門家と称している人と話し合った。ところが話がどうもかみ合わないので、いろいろ聞いているうちに、この人は流体力学の基礎をまったく理解せず、したがって旋風は流体の渦であること、さらには流体につき物の波の現象(圧力や速度の波は物質の流れと反対の方向に起こりうること)を理解しないで、自分の理論を主張しているのであることがわかった。そして、流体力学とは関係ないと主張したのである。こんな研究者といくら話しても基礎的な議論はできない。そこで話を打ち切り、個人的な話もやめてしまった。