「りんごが教えてくれたこと」木村秋則著、日本経済新聞出版社発行

 

一月ほど東京に孫の世話に行っていた昭子が持って帰った本で、4時間ほどで全部を読み通してしまった。この本は日本ではすでによく知られているかも知れない。

 

著者はサラリーマンとして就職後一年半で退職、親の後をついでりんご園の栽培に従事するが、農薬の害に耐えられず、無農薬無肥料のりんご栽培に挑戦、11年目にようやく成功する。その間農業による収入は皆無の間、季節労働、日雇い労働、掃除夫などをしながら、実験と努力を続け、失敗をかさねながらも、独自の発見と工夫によってついに目的を達する記録である。

 

科学的にも、虫の観察と習性の理解、植物と土壌の関係など、以前にはまったく知られていなかったことを発見して、その関係を利用して無農薬無肥料でりんごを栽培するという、とてつもない仕事を完成した。

 

りんごばかりでなく米の栽培でも無農薬無肥料に成功している。

 

著者がこういうことに成功できた背景には、理科系大学を出ていなくても、子供のとき以来、おもちゃ、ラジオ、自動車などを分解、組み立て直しなど深い興味と徹底した追求欲を持っていたことがある。

 

学会でも知られていない多くのことを発見している。これらを解析して、科学的に究明してゆくことが、大学や農業研究者の今後の課題になるだろう。

 

海外からの、講演や指導依頼が多いという。彼のやりか方を取り入れる熱意は、日本よりも韓国のほうがつよく、無農薬無肥料栽培は韓国のほうが日本よりも先に達成してしまうかも知れぬと、著者は考えている。

 

植物に直接興味ない人でも米や農作物を食べない人はいない。すべての人に一読をすすめたい。

 

中村省一郎 9-13-09