ヨーロッパで食べたい物

 

これには2つあって、一つは白いソーセージ(weiss brätwurst)とドイツの黒パンである。

 

1.白いソーセージ

 

Weiss Brätwurstを始めて食べたのはザルツブルグで、夜遅く人形劇場がはねた後ホテルに帰るためのバスを待っていたところ、すぐそばに屋台の店があって、次から次へと客が来てソーセージを一本ずつ買ってゆき、かじりながら歩いてゆく。私たちも真似をして買ってみたらこれがうまかった。だから次の日も同じ時間の頃そこを通ってソーセージを買った。次の日からは自動車旅行でスイスへ向けて走ったが、同じソーセージはレストランよりは食料品店でも簡単に見つかり、これをアルミフォイルに包んで、自動車のエンジンの上に置いておくと30分も走ると丁度だべころに熱くなっていた。

 

これが大恥になったというのは、スイスのルザンヌの繁華街の道路わきにやっとの思いで駐車できる場所をみつけ車を止めたとき、丁度ソーセージが熱くなった時間であった。エンジン室のふたを開けソーセージを包んだアルミフォイルを取り出そうとしたところ、ソーセージがつるりと飛び出して、大勢の人の見ているところで路上に落してしまった。

 

コロンバスに帰ってから白いソーセージを見つけるたびに試しに買ったが、どこか味が物足りなく、やがて努力もしなくなり何年も過ぎた。ところが、先週韓国のソウルでホテルの食事に白いソーセージがあってその味はザルツブルグで食べたのとそっくりであった。このホテルの食事は非常に洗練されていて、本物の白いソーセージであったのだろう。

 

旅行から帰ってから調べてみてわかったことだが、このソーセージは19世紀半ばにドイツのBavaria地方(ミュンヘンからザルツブルグまでを含む地方)で生まれた。あるソーセージ屋で、客が注文したソーセージを作る分の材料が足りなくなった。客は隣の部屋で待っているし、困ったソーセージ屋は、有り合わせの材料でいつものとは異なる白いソーセージを作ったのであったが、それが評判となりどんどん売れるようになったのが始まりという。このソーセージは子牛と豚肉を用い、パセリと胡椒を少しいれ、煙で燻さないところが他のソーセージと異なる。

 

現在はドイツの各地方でweiss brätwurstと称して似たものを売っているが、weiss brätwurstに誇りを持つBavaria地方のソーセージ屋は他のとはっきりした一線を隔しているという。それにweiss brätwurstの正式の食べ方というのがあって、weiss brätwurstは朝しか作ってはならず、その日の正午までに食べなければならない。調理の仕方は、沸騰水でゆでるだけ。もしはじけたらゆで方が悪いのであって、そのようなソーセージは食べてはいけない。フライパンで焼いて焦げ目をつけるような食べ方は違反であると、なかなかうるさい。

 

中村省一郎   10-31-2009