2.留学生のアメリカの大学院生活-修士課程

 

アメリカの大学の第一学期は9月下旬から始まる。大学院への新入留学生のほとんどは9月はじめにやってきて、寮あるいはアパートに入る手続きをすませ、生活の準備をおこなう。学生証を手に入れたり、銀行で口座を作ることも必要だし、証明書を手に入れるにも順序があるから、10日くらいは瞬く間に過ぎてしまうだろう。次に大学での授業を受ける準備をしなくてはならない。またすでに研究助手として指名が決まっている学生は、その学生のボスである教授に会いに行くことが必要である。

 

インド以外のアジアの国からきた留学生は、アメリカの数箇所の大学でやっている英語の集中訓練を入学以前に2ヶ月ほど受けてくることが多い。

 

大学院在学期間は、修士コースで約2年、博士コースでは修士の約2年のあとさらに3ないし4年で、計5~6年かかる。自費で入学する場合は、授業料と生活費を払わなければならないが、大学院ではこのような学生は非常に少ない。20%位は奨学金でまかなう学生で、残りは研究助手として教授から給料を受け取る。研究助手は授業料を払わなくてもよいが、雇っている教授の研究費からその分が差し引かれるから、結局全部教授が払っていることになる。

 

修士コースの学生が授業を受ける時間は週に約9~12時間(3~4科目)であろう。来たての外国人留学生は英語の実力が認められるまでは週3時間の英会話の授業を受けなければならない。にもかかわらず、専門の授業の週6~9時間の授業はどんどん進んで行くので、入学時に授業を聞き取れる力がないとついてゆけない。

 

日本の大学と異なるところは、毎週宿題が出され、次の週の期限日に提出しなければならず、さらにその次の週には採点して返還される。中間試験は1度ないし2度、最終試験は学期末に2時間のがある。講座によってはレポートだけの場合も時々ある。

 

研究助手は週20時間を助手としての仕事に当てなければならない。実験が専門の教授の所では手足を使ってやる仕事は山のようにあるだろう。理論が専門の教授の所では、文献調査、ソフトウェアを使う仕事、または先輩の指導で理論の勉強などの仕事が与えられる。週一度はその教授の下で働いているすべての助手と学生があつまり、各週の成果を報告し、次の週の打ち合わせをおこなう。この報告会を通して誰が何をやっているかを学ぶとともに教授がどのような批判と指示を与えるかを知り、研究プロジェクトの進め方を学ぶ。

 

授業の成績は大まかに言ってABCD(優、良、可、落第)、点数にして4,3,2,0で、平均が3以上でなければ退学させられる。

 

修士課程には修士論文を書くコースと書かないコースの選択が許される。後者の場合は授業の単位数が多くなり、また卒業試験に通らなければならないが、在学期間を短縮出来る利点もあり、自費学生や、奨学金を受けている(助手の仕事をしない)学生が選択することが多い。

 

修士論文を書くコースを選択した場合(研究助手になると教授は修士論文を仕事のまとめとして要求する)は、最後の半年は研究助手としての仕事を続けながら修士論文の仕上げに専念する。修士論文の長さは一行おきにタイプして約100ページ程度であろう。これを通して、研究のまとめだけではなく、論文の書き方を学ぶ。最後に2人の教授の立会いで、一般の学生を招いて研究発表をおこない、その直後論文の審査がなされる。

 

もし合格しなければ、数週間あるいは数ヶ月以内にチャンスがもう一度だけあたえられる。

 

中村省一郎 

11-17-2010

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