(7)渋柿

 

最近アメリカの果物屋で柿を見ることが多くなった。ニューヨークでは道路に面した果物屋が多いが、たいていは甘柿と渋柿が並べて道路わきの台に並べてある。

 

冬柿はすぐに食べても心配はないが、腑に落ちないことは、アメリカで渋柿がどのように食べられているかである。日本では、渋柿は干し柿にするか、樽抜き柿として売られている。アメリカには樽抜き柿は売っていない。

 

ニューヨーク旅行中に柿を売っている果物屋で、この柿は渋くて(astringent)すぐにはたべられないだろう? と何度か聞いてみたが、そんなことはない、甘い、とだけしか言わぬ。コロンバスでも同じことを試みたことがあったが、こちらの満足する答えは得られて居ない。アメリカでは渋柿を何事もなく甘いといって食べているのであろうか。子供の時の経験では、渋柿は熟して柔らかくなっても渋かった。渋柿がアメリカの店頭に出始めた何年か前に、柿の売り場でこれはどうして食べればよいのか聞かれたことがあった。そのときは、後で書くような渋抜きの方法を教えた。しかし現在でも皆が知っているとは思えない。

 

そこで、旅行が終わってからastringent persimmonsをキーワードでウィキペヂアを調べると、もっともな答えが返ってきた。それによると、

 

柿にはastringent persimmons と non-astringent persimmons があり、astringent persimmons は非常に柔らかくならないと渋がひどくて食べられない。渋を抜く方法としては、(1)紙に包んでおく、あるいは(2)アルコール雰囲気またはCO2ガスに置く。(1)ではエチレンガスの濃度が高くなり、(2)ではアルコールあるいはCO2との反応により水溶性のタンニンが不溶性になるので渋が感じなくなる。

 

と書かれていて、われわれの理解に一致する。(1)が本当なら。リンゴやバナナと一緒に紙に包んでおくとエチレンガスの濃度はより高く、その効果が増すはずである。さらに

 

柿にはcatechin、gallocatechin、betulinic acid,shibuolなどの物質(渋の成分)が含まれ、この中でもshibuolは胃酸と混ざると重合を起こし胃の中で他の食べ物おも巻き込んで塊を作り、腸を通らなくなる場合がある。この治療には、切開手術しかないと考えられていたが、コカコーラが塊を溶かすことが分かってきた。

 

馬を柿木のあるところに放しておくと柿を食べ過ぎて病気になるので注意しなければならない。

 

と書いてある。戦後子供の時の経験であるが、渋柿を食べて便秘を起こしたことがあったのを思い出したが、shibuolの重合だったようだ。

 

筆者の渋抜きの方法は樽抜きと原理的には同じで次のようにする。渋柿をぴたりとふたの閉まるプラスチックの容器かジップロックの袋に入れ、半さじくらいの焼酎かウイスキーを入れて封をし、冷蔵庫に2日保存する。そうすれば樽抜き柿が出来る。このように処理した柿にはアルコールの味がしないのは、shibuolがアルコールを消費してしまうからだと考えている。

 

Japanese Persimmon

 

中村省一郎 12-9-2010

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