200.10

西 村 三千男 記

連載「余談・ドイツ化学史の旅」

 

第14回 フラウKの孫たち(Mくん、Jくん)

 

フラウKの孫、双子のMくん、Jくんのことはこれまでも何度か紹介してきた。彼等が

生まれた頃は家内が毎年のように、ファミリーKのところにホームスティしていた。家内

と幼少の頃から接点があったので、私たちがファミリーKを訪ねると、彼等は顔を見せて

家内に挨拶する。この連載の前回述べたが、6月4日のカフェタイムに私たちが訪ねた時、

Jくんは同席したが、Mくんは不在であった。後で、近くのシュパーゲル農家で学生アル

バイト中のMくんに私たちが面会に行った。

 

前回、会ったのは2007年9月。化学史の旅・パート2の時で、彼等はアビトゥーア

の受験準備中であった。その時点では「大学進学の計画はないが、念のためアビトゥーア

は良い成績で合格するよう努力するのだ」と言っていた。その辺の事情はアイソマーズ通

信2008年号掲載の拙稿、「ドイツ化学史の旅・パート2」のこぼれ話  を参照。

第13回 アビトゥーア(Abitur)と専検/専卒検

 

今回会ったら、Jくんは既に大学生、Mくんも今秋から大学進学を決めていた。2年余

り前には「大学進学の予定は無いけれど、アビトゥーア受験に集中」、現在は「予定を変

更して、大学進学へ進路を切り替えた」という。ドイツの学制、アビトゥーア制度と大学

進学の関係の良好な実例を見る思いがした。今日の日本では、入学試験至上主義で、入試

に向けてだけはトコトン努力するが、入試が済めば、または入試に関係なければ、まるで

努力を怠る・・そのことを社会が許容している現実がある。

 

大学進学の学費は誰が負担するのかを聞いてみた。Mくん、Jくんの両親は恒産を持つ

リッチなファミリーではないが、その心配は要らないようだ。ドイツでは初等、中等教育

のみならず、大学まで学費無料の原則があるようだ。

 

両君が大学で何を履修するかを聞いてみた。

 

Mくんの Landschaftsarchitekt

ドイツ語で Landschaft は「風景、景観」を意味する。Architekt は「建築士、建

築家」であるから、合わせて「景観建築士?」。グーグル検索すると、広義には「景観

重視のアーバンデザイン」とも、狭義には「造園設計」ともとれる。そんな学科、専門

分野が日本にもあるかどうかゼネコン勤務の友人に聞いてみよう。次の機会に本人にも

確かめよう。

 

Jくんの Betriebswirtschaftslehre(BWL)

ドイツ語で Betrieb は「工場、事業、経営」を、Wirtschaftslehre は「経済学」

を意味する。合わせて「経営経済学」となる。グーグル検索しても、明解な説明が得ら

れない。たまたま、去る7月3日、化学史学会で専修大学経営学科の齋藤憲先生が「大

河内正敏と理化学研究所」という演題で特別講演をされた。懇親パーティで齋藤先生に

ドイツの「経営経済学(BWL)」を尋ねてみた。先生のご見解では、「日本ではアメ

リカ式経営学が盛んで、ドイツの経営経済学は話題にもならない」とのこと。

 

(以下次回)