ビフテキの秘密

 

1.カテプシンの効果

 

化学を専攻した人には料理をするのが好きな人が多いと聞いているがアイソマーズでは? 最近、ビーフステーキは安い牛肉でも柔らかくしておいしく食べられるという、興味深く有益な情報を得たので紹介したい。

 

肉の中にはコラーゲン(Collagen)とよばれる繊維質のたんぱく質が取り巻いていて、これは熱により収縮し、生のときよりも硬くなる。ビーフステーキは冷蔵庫で冷えた牛肉をフライパンの中でいきなり高熱で熱するが、安い肉ではコラーゲンが多く、その収縮により焼くほど硬くなる上に、収縮とともにたんぱく質細胞の中の水分を搾り出してしまう。だから安い肉をこのように調理したビーフステーキは固いうえ、水分がないから、かさかさで旨みがない。

 

この問題を解決する方法は、肉を120~140F(37~46C)で30分ないし60分保つことである。こうすると、同じ肉中にある酵素カテプシン(cathepsin)が働いてコラーゲンを寸断するため、その後普通の調理法でテーキにすればよい。

 

この原理は、新しい肉は硬うが時間を置くほどやわらかくなることとおなじであるが、37~46Cでその作用はもっとも活発になり、短時間でその効果を利用できるところに大きな利用価値がある。

 

同じ原理はビーフステーキだけではなく、牛肉をほかの料理に用いるときにも応用でき、豚、鶏肉、羊の場合も同じである。

 

中村省一郎

11-23-2010

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