3.肉をやわらかくする他の方法

 

肉をやわらかくする方法には他にもいろいろあって、原理はいずれもたんぱく質を分解する酵素を持つ物質に混ぜることである。その主なものは

 

醤油、麹、生姜、パイナップル、柑橘類、その他

 

最初の3個は経験的に知ったことである。焼肉を生姜醤油に漬けておくと、非常にやわらかい焼肉になる。

 

麹漬けの肉は非常に柔らかい。麹には多くの酵素が含まれているがこれらは二個のグループ、つまりアミラーゼ群とプロトアーゼ群に分けることができる。アミラーゼは澱粉を分解してブドウ糖を作ると同時に、繊維質をも分解する作用がある。一方プロトアーゼ群はたんぱく質をアミノ酸に分解する。麹を穀類に働かせるとアミラーゼが澱粉を分解してブドウ糖生成が行われ、酒を造るとき大事な化学反応である。一方同じ麹でも大豆、麦、かつおに働かせるとプロトアーゼによるアミノ酸の生成で、味噌、醤油、鰹節が出来る。

 

醤油は蛋白質を分解する酵素を含んでいるのであろうと思われる。生姜自体も蛋白質を分解する酵素を持っていると考えられる。パイナップルの汁からはテンダーライザーと呼ばれる肉を柔らかくする粉末を製造しているらしいが、詳細はわからない。

 

この節に書いた物質で肉を柔らかくすると、それぞれに味が肉についてしまうので、調味料の一部であるときは問題ないのだが、肉の自然な味を大切にする料理たとえばビフテキにする肉に使うわけには行かない。アメリカの大衆食堂でビフテキを食べると味が不自然なときがあるのはテンダーライザーで柔らかくした肉を使っているのではないかと疑われる。

 

このような観点からも、本レポートで紹介した、低温熱処理の方法は優れた方法である。   

 

中村省一郎

11-23-2010

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