付録1:バーボンとスコッチ

 

バーボンとスコッチはどちらもウイスキーに属するが味はかなり異なる。その違いは何処からくるか。以下はスコッチに関する資料、主に

http://www.lochlomonddistillery.com/making-scotch.htmhttp://www.lochlomonddistillery.com/making-scotch.htm

を参考にした。

スコッチの材料は水以外は大麦だけである。部分的にではなく、使用する大麦すべてを発芽させる。発芽の完了した大麦はピート(泥炭)を燃料にした炉(オブン)に入れ、煙で薫蒸しながら乾燥させる。薫蒸しないで作るウイスキーもあるがnon-peated scotch whiskeyといい、上記のごとく薫上した発芽大麦をもちいたものをpeated scotch whiskeyと云う。non-peated scotch whiskeyを飲んだ経験はいまだない。

 

乾燥した発芽大麦(モルト)は臼で粉にし、ステンレスの大きな水槽で水とまぜ、糖分を水に溶かす。糖分を含んだ水はオレゴン松、あるいは糸杉材の樽に移し、イーストを入れて発酵させる。一方ステンレス水槽で糖分を水に抽出してしまった残りは家畜の飼料に使われる。

 

発酵時間は比較的短く2~4日で、急激な発酵をおこす。この段階でアルコール度は8~9%になり、やはりビールと呼ばれる。このビールは蒸留器に移し、蒸留を行う。一度目の蒸留のままでは(好ましくない物質のため)味がきついので、二度目の蒸留を行う。(ワイルドターキーの場合と同じ)。

 

ここで、バーボン工場見学中には得られなかった情報が書いてあった。それは、蒸留酒の味は蒸留器の設計に大きく影響される。沸騰させる釜の部分の高さと、首(垂直の円錐形の筒)の長さを最適に決めることが大事であるという。このことは以前から知りたかったことで、昨年イタリアでグラッパ蒸留所見学を試みたのも同じ理由からであった。今回の旅行でもバーボン工場で質問したが、案内人はこの効果のことを知らず、蒸留器は英国からの輸入であるとだけ答えた。

 

蒸留した酒は樽に詰められて何年かの熟成が始まるのであるが、バーボンとの密接した関係が見逃せない。つまり、スコッチウイスキーを入れる樽はバーボンで用いた樽のお古を使う。味の良さを高めるためである。バーボン会社のほうではいつも新しい樽を使わなければならないので、使用済みの樽を売ることは生産コストの削減に寄与する。このことはバーボン工場でも聞いたが、スコッチウイスキーの方でも同じことを言っているのだから、間違いはないだろう。

 

味から云ってバーボンとスコッチでは異なるウイスキーである。スコッチの味には灰のような味がするのはピートで薫蒸した効果である。酒店で値段を見てみると10年もので比較してスコッチのほうが少し高いが、これはバーボンは国産なのに対しスコッチは輸入酒であり輸入税がかかっているためであろう。バーボンとスコッチが異なるのは同じヨーロッパの蒸留酒でもスコッチとコニャックで味が異なるのを同じことで、洗練の高さにおいて上下はないと言い切れる。しかし、スコッチではChivas Regalなど18年熟成物が店に並んでいるの対して、バーボンでは見当たらなかった。通信販売で探せばあるのかも知れないし、年数がかかることであるから将来は出てくることを期待したい。

 

スコッチで他のブランドより各段に多く売られているのはジョニーウォーカーである。ジョニーウォーカーが成功した秘密は、ビンの形を4角にしてビンの破損を防ぐとともに他のウイウキイより際立って目立つようになったこと、ラベルを斜めにしてその効果をさらに強めたことにあるといわれる。ジョニーウォーカー自身の蒸留所はほとんどないに等しく、他の卸売りメーカーから集めたウイスキーを混ぜること、つまりブレンドウイスキーを作ることを専門にして大量に売り、その有名度の地位を守っている。

 

ブレンドしていないストーレートスコッチウイスキイの種類は無数にあるが、普通の店にはほとんどなく、購買はインターネットで注文するのが最良のようだ。

 

 

() 泥炭はスコットランドおよびアイルランドの湿地帯のいたるところで土のごとく地表を覆っている。これを採取するにはスコップで掬うだけでよい。乾燥してから燃料として用いる。日本では釧路平原が泥炭。ニッカやサントリーウイスキーが釧路の泥炭を用いているかどうかは知らない。

 

11-7-2010

中村省一郎

 

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