9.オハイオ川の滝

 

二つ目のバーボン見学は昼ころ終わったので、午後の半日は観光に使えた。そこでルイビルにあるオハイオ川の滝を見に行くことにした。オハイオ川というのはペンシルバニア州のピッツバーグ市の中心を流れているモンゲヘラ川の下流にあり、モンゲヘラ川自体大きな川で、モンゲヘラ川がオハイオ州の境に来たところでオハイオ川が始まる。

 

それからペンシルバニア州とオハイオ州、ウェストバージニア州とオハイオ州、ケンタッキイー州とオハイオ州の境を流れ、シンシナテイの市内のレッドソックスの野球場の脇を通り、さらにケンタッキイー州とインデイアナ州の境を通ってルイビルに着き、さらに西へ流れミシシッピ川に合流する。これらの州の雨水を一挙に集め、巨大な川である。

 

だから途中の障害さえなければ、メキシコ湾からミシシッピ川を登ってきた船はピッツバーグのさらに東までゆけるはずである。ところがオハイオ川は、たった落差6~7メートルではあるがルイビルで滝になっていて、昔は船が通行できなかった。そこで船を利用する貨物や通行人はすべて一度船から降ろし、上流か下流へ行ってから船を乗り換えて先へいったものであった。このため、ルイビルは昔から交通の要所として栄えた。

 

なぜ滝が出来たかといえば、前に書いたケンタッキイーの地質と関係があり、3億年前に堆積した石灰石が隆起したとき一枚岩となって突き出し、侵食作用では川底の形は変わらなかったのである。

 

この土地特有の川の地形は2Kmくらいの長さにわっており、河川工事により現在は川幅の一部が発電所、次の一部が船を上下させる水門、残りの部分が急流にしてある。300~500メートル四方はある一枚岩の表面は人が歩けるくらいの平らさで、この日は散歩する人の姿はまばらであったが、夏には大勢の人が来るようだ。多数の化石がこびり着いているとのことであったが、その採取は禁止されている。この場所はルイビルから橋をわたってインデイアナ州に渡ったらすぐに、Fall of Ohio State Parkという名のインデイアナ州の州立公園となっており、博物館がある。5ドルの入場料を払って入ると、このあたりのオハイオ川と町や産業の歴史の資料が展示されていて、映画も見せてくれる。

 

博物館にはほかの訪問客はほとんどおらず、大きな映画鑑賞室でわれわれ2人の為に約30分の映画を上映してくれた。その映画によれば、滝の落差はほんの6メートル強なのに大きな川であるため水量が多く、発電量は大きい。このためルイビルと、橋を渡ったところにあるインデイアナ側のジェファーソンビルでは19世紀末から工業が発達した。ルイビルの競馬は世界的に有名であるが、ルイビルといえば競馬しか知らなかった私には驚きであった。世の中を知るには旅は大切である。

 

 

11-7-2010

中村省一郎

 

 

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