(3)ケンタッキーの地質

 

ケンタッキー州を車で通ったことは何度かあったが、テネシー州かジョージア州に仕事で行くために通りすぎるだけで、ゆっくりその土地について関心を払ったことは以前にはなかった。

 

ケンタッキーのバーボン製造所は主にレキシントン市とルイビル市に挟まれている。今回の訪問はその中でもWoodford ReserveWildturkeyの二箇所と決めた。もっと行けたらとは思ったが、実際には一箇所の見学案内と案内所の展示物を見る時間を含めると約3時間かかり、一つの製造所から次の製造所までの交通時間に1時間を見ておかなければならない。だから半日に1箇所がせいぜいであった。

 

車の走行時間は、コロンバスからシンシナテイまでが約1時間40分、そこからレキシントンまでが同じくらい、レキシントンから今回の最初のバーボン製造所であるWoodford Reserveまでが約40分。家から約4時間足らずで最初の目的地についたことになる。半分は昭子が運転してくれるので楽である。

 

コロンバスからシンシナテイまでは土地が平らで、畑が続く。ほとんどがトーモロコシ、麦あるいは大豆である。シンシナテイを過ぎてオハイオ川の大きな橋を渡るとケンタッキー州である。シンシナテイは大きな工業都市で、ケンタッキー州に入ってもシンシナテイの郊外のようなところが30Kmくらい続く。シンシナテイ空港さえケンタッキー州側にある。

 

このような都市圏を過ぎると、ケンタッキー州特有の地質が明らかになってくる。オハイオ州とは異なってゆるい丘陵地帯であり、畑は見当たらない。樹木も密とはいえない。高速路の脇の丘陵の切り口をみると、その切り口は厚さ10~20cmくらいの平たい石が、不規則なレンガのごとく積み重ねたようになっていて、その上に土がほとんどない。つまりこの土地では、地表をほんの少し堀ると岩の層に突き当たるのである。これでは、畑は出来ず、樹木もあまり育たないであろう。せいぜい牧草地に利用できるくらいで、ところどころ馬か牛の放牧が見られた。

 

ケンタッキーの半ばから南ではトーモロコシも麦も生産されているが、ケンタッキー州の北半分くらいはこのような土の非常に薄い地域なのである。このような地質とバーボンとは関係がある。

 

なぜこのような地質になったかを知るには、地球の歴史を見なければならない。36010年(つまり3億6千年前)ころまでミシシッピ川以東は海底であり、しかも赤道下であった。そのために、貝やさんご礁が発生して厚い石灰岩を形成した。その後隆起が起こって、現在のミシシッピ川以東の土地ができた。オハイオでも岩盤は石灰石で出来ていて、コロンバス周辺の石切り場場から掘り出される石にはよく貝や巻貝の化石が見られる。(我が家の庭石にも化石がいっぱい付いている)。

 

ではなぜオハイオ州とケンタッキーでは地質が違うかであるが、その答えは約二万年に一度の頻度で襲ってきた氷河の影響である。オハイオは何度も氷河に覆われ、氷河が地表近くの岩を砕き、地表を平らにしてしまった。ところが、氷河の南限はオハイオ川の南の境で、ぼぼシンシナテイどまりであって、ケンタッキーには影響しなかった。これが、ケンタッキーのに丘陵がおおく、岩盤の岩が地表まで来ている理由である。

 

11-1-2010

中村省一郎

 

 

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