8.バーボン工場見学-2軒目

 

二日目はワイルドターキーで2件目のバーボン工場の見学を行うことになった。

 

この会社は前日見学の会社より5倍以上生産量が多いのに、見学者用の待合室は小さく、30人の大きさの見学グループが入りきれないようなところであった。

ここでは見学料はただであった。見学者のための施設にも費用はかかるだろうから、一人5ドル位とるかどうかは、施設の運営におおきな影響を及ぼすはずだ。たとえば、概算であるが一日30(グループの人数)X10(一日のグループ数)=300人が訪れるとしよう。一人5ドルとれば毎日1500ドルの収入になる。かなり大きなホールを建築しても月3000ドルあれば建築費(ローン返済)と維持費は十分にカバーするはずである。見学者にとってみれば、5ドル払うことはなんでもないことだから、やはり気持ちの良い建物に迎え入れてくれたほうがうれしい。

 

最初の見学グループはわれわれ2人しかいなかったが、定刻どおり一人のガイドがついて出発した。30分を過ぎたころ、約30名の見学者を連れた次のグループとすれ違った。

 

バーボン製造に関する説明は前日の工場とほとんど変わらなかった。異なるところは、(1)蒸留は単一式を2回しか行わない、(2)蒸留器がスコットランドからの輸入ではあるが、かなり複雑な形をしている、(3)ライ麦を使いトーモロコシを使わないライウイスキーも造っている。

 

ほかの見学者がいないので、個人的にかなり自由な会話ができたのは得した。蒸留の回数が2回と3回で味がどう違ってくるかであるが、3回やると本来のバーボンの味がかなり薄れてしまうと批判していた。しかしそれぞれの会社は自分の選んだやり方で最良と信じるバーボンを造っていることに違いない。

 

熟成のための貯蔵であるが、暖房と冷房を用いて、一年に6回の温度変動サイクルを作り、熟成の効果を加速しているという。つまり、温度が増すとバーボンが膨張し、樽の木材への浸透がふえ、温度が下がると浸透したバーボンが樽のなかへもどってくるのだそうだ。この往復回数が多いほど熟成度が増すというのである。

 

トーモロコシ畑のあまり見えないケンタッキイーで、ウイスキーの原料であるトーモロコシが十分取れるのかと質問したが、ここの原料は全部ケンタッキイーで取れたものであると答えた。また樽の材料と製作であるが、白樫はケンタッキイー州の西北部で多く出来、州内の樽つくり専門の会社がバーボン用の樽を全部製作するばかりでなく、フランス、英国さらにワイン貯蔵用の樽として世界中に輸出しているそうだ。

 

バーボン自体、輸出が毎年10%くらいずつ伸びていて、輸出のためだけのブランドをこしらえている会社もあるようだ。

 

見学が終わると待合室にもどり、味見のバーボンが提供された。一人に二種類のバーボンが振舞われるので、昭子と私とで合計4種類のバーボンを味わえることになった。そこでライウイスキー、ワイルドターキーの熟成年数の異なるのを2つ、バーボンに蜂蜜をまぜてデザートバーボンにしたものを選んだ。ライウイスキーはなじめなかった。デザートバーボンには躊躇したが、飲んでみると意外にうまかった。熟成年数の異なるバーボン2つを味見して、熟成年数10年ものがやはり断然うまかった。

 

 

 

11-7-2010

中村省一郎

 

 

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