鏡餅カビ防止案結末   中村省一郎   1-15-2010

 

 

我が家では鏡餅は作らないけれども、正月近くになれば、昭子が餅つき機で作り、3~4cm四方に切ってから冷凍にする。

 

一回目の実験では、一切れずつに(A)処理なし、(B)処理あり、を各々のビニールの袋に入れて封をして約24C(ほぼ一定)の場所に置き、毎日観察。(B)では、1カップ(220cc)の水に重曹を小さじ1の割合で、よくかきまぜ、その液をガーゼにしたし、餅の表面に一様にこすりつけ、十分にぬらしてから30分ほど乾かした。当地では湿度が低いから、ビニールに入れないと、乾燥してしまい、カビは生えない。

 

放置後(A)で5日目に赤カビが発生。7日目には写真1、2に示すごとく、アオカビ、赤カビ、黒かびがひどくなった。  一方、(B)では、5日目には肉眼ではカビはみえなかったが、7日目には黒かびがうっすら生えている場所があった。

 

二回目の実験では、一つの条件を変えた。つまり重曹を小さじ4の割合で混ぜ、それ以外では一回目の実験と同じにした。

 

放置後(A)で5日目に赤カビとアオカビが見え出した。7日目には写真3に示すごとく、(A)にはアオカビ、赤カビ、黒カビがひどくなった。  一方、(B)では、5日目には肉眼ではカビは何もみえなかったが、7日目には断面の角2箇所に非常に小さなアオカビの生えている場所があった。それ以外の場所にはうっすらしたカビも見当たらなかった(写真3,4)。このことから、重曹の濃度を増した効果は明らかで、二度目のほうがカビがはるかに少ない。

 

以上の観察から、重曹には明らかにカビを抑制する効果があることが明らかになった。

 

1カップの水に重曹を小さじ1の割合では、カビの成長がかなり抑えられるが、前面にうっすらカビが生えてきたのに対し、1カップの水に重曹を小さじ4の割合では、一箇所以外は、完璧といえるくらい、かびは見あたらなかった。

 

しかし、2度目の実験の(B)で、なぜ小さな場所にアオカビが生えたか。その餅を観察して次のことが分かった。餅つき機で出来た餅というのは、千枚はぎのごとく薄い層が重なってできていることを発見した。そうして、その層が餅の断面で1mm位の深さに剥がれかけているのである。だから、重曹液を塗りつけても表面のみなので、層の中には空気が自由に出入りして、菌の胞子を植え付けていた可能性がある。したがって、重曹液を塗りつけるとき、もっと時間をかけて、中までしみるようにすれば、より改善されるであろう。

 

ここまでが、実験の結果である。しかし、餅がこのように薄い層が重なってできていることは今まで知らなかった。なぜそうなるのか。答えは、餅つき機というのは、餅米の非ニュートン流体のレオロジーを用いているところにあるのではないか。つまり、餅の中心にある軸が回転するとともに、せん断応力で蒸したもち米がかき混ぜられてゆく。このとき、餅の材料は回転の接線方向へ薄く薄く引き伸ばされてゆくと同時に、すこしずつ中心へ向けて動き、集まってくる。中心へたまった餅のため、時たま乱流が起こり、異なる場所の材料がかきまぜられる。そして、またしばらく、各部分は薄く薄く引き延ばされてゆく。この性質が、餅が固まってもそのまま残されているに違いなく、千枚はぎのごとくなる理由に違いない。

 

実は、二度めの(B)で、重曹液でぬらしたのち乾かしている間に、端のほうで、皮が向けた様な分離が観察されたが、一度目の実験と同じ条件にするため、特別な追加処理はしなかった。 

 

さて手でついた餅では、べったんぎゅう、べったんぎゅう、のたびに混合の仕方が任意に変更されるので、おそらく千枚はぎになっていないはずである。

 

この、千枚はぎかそうでないかは、カビの生え方にも大きく影響するはずである。ここに西村さんの書かれえたoo堂の鏡餅と、NHKで紹介された新技術の鏡餅のカビの生え方の違いかも知れない。

 

 

写真1 1度目7日目 左(A)右(B)

 

写真2  同、ただし双方裏

 

写真3 2度目7日目 左(B)右(A)

 

写真4 同、ただし(B)のみ裏