2010.1.15

西 村 三千男

 

「奇跡のりんご」を巡る話題〜その1

 

中村さんが、アイソマーズ通信2009年号に

「りんごが教えてくれたこと」(木村秋則著、日本経済新聞出版社)

の紹介と書評を掲載された。

それを巡る話題を数回に分けて綴る。

 

「奇跡のりんご」講演会(2010.1.10 @立教大学公開講演会

 

先日、上掲書の著者・木村秋則氏の講演を聴いた。木村さんは絶対不可能と言

われたリンゴの無農薬・無肥料栽培に成功し、一躍時の人となって、ある種の社

会現象を巻きおこしている津軽のリンゴ農業者である。

 

この講演会はメディアでは殆んど広報されていなかったけれど、当日は会場の

立教大学池袋キャンパスに、老若男女1000名超が続々と集まった。男女比は

7:3位で女性の方が多かった。予定された会場には収容しきれなくて、急きょ

モニター室の第2、第3会場も供用された。開演の約20分前に到着したが既に

第1会場は満席であった。そして、開演時にはモニター室に立ち見の人も出る盛

況であった。

 

 講演は「聴かせ上手」な話術、説得力のある写真スライド、平易な用語、簡明

な説明でキッカリ90分間聴衆を惹きつけた。木村さんは若い頃の不養生が原因

で歯が1本もなく、少しフガフガと言葉が漏れるが、それも却って話術のプラス

にしている。自然栽培法に挑戦して、収穫ゼロの極貧生活が長年続いた体験談は

感動的で、隣席の中年女性は時々涙を拭いながら聴いていた。話し終わって、司

会者の立教大学・濁川教授との15分間のQAも当意即妙であった。

 

 講演内容は、上掲書に記述されている話題の一部を抜粋して、著者自身が会場

の聴衆に語りかけるというもの。中村さんの的確な書評と一致する内容であった

が、相補する部分もあった。ここでは内容には立ち入らないでおこう。

 

木村式自然栽培法(木村さんは自然農法とは云わない、自然栽培法と言う)は、

リンゴに限らない広範な農産物について完全な無農薬・無肥料・無除草剤の実現

を誇っている。この成果は国の内外で徐々に認知され、この栽培法を採用する仲

間、この栽培法の思想に賛同する非農家ファンが増加している。

 

 徐々にではあるが海外へも広がりを見せている。韓国、ケニア、ドイツが話題

にあげられた。ドイツで木村式栽培法と地場の農法とでジャガイモ栽培の競争を

した話も出た。実は、日本国内よりも隣の韓国の方が熱心で、韓国から木村農場

へ研修に来訪した人は昨年の1年間で1000名を越える盛況であったそうだ。

この勢いでは、木村式栽培法による農産物が、将来韓国から対日輸出される日が

来るかも知れない・・・と木村氏は警鐘を鳴らしていた。

 

(その1 おわり)