201122

西 村 三千男 記

 

「旅の雑記帳・オランダ」 

 

第12話 アムステルダム中央駅、TGV(Thalys)

 

『今、日曜日の朝です。お天気は良く、比較的暖かな過ごしやすい朝です。

ブリュッセルからアムステルダムに向かうTGVThalys)の車中からです。・・・・』 

 

一昨日(2011.3.20)ヨーロッパ出張中の長男から受け取ったメールは

こんな書き出しであった。

 

タリス(Thalys)はフランス、ベルギー、オランダ、ドイツの4ヵ国で

共同運行する高速鉄道である。フランスのTGVの車両を採用していて、実質的

にTGVであるが、ベルギーのフラマン語系住民のアンチフランス語感情に配慮

してTGV(フランス語)を避けてタリスと命名した。ご存知の如く、ベルギー

はフランス語とフラマン語の2ヵ国語を公用語に定めている。両者の主導権争い

は熾烈で、お互いに憎み合っているらしい。本当のところは外国人には窺い知れ

ないが。

 

前々回の第10話で引用した拙文「苦境にあるヨーロッパの航空業界」に記述

しているが、2004年の時点で既にTGVはブラッセルまで供用しており、

ハーグまでの延長新線を建設中、将来的にはアムステルダムまでも延伸が計画さ

れている」状態であった。それをタリスと改名して、デンハーグを越えて、スキ

ポール空港経由アムステルダムまで供用しているという。トーマスクック発行の

ヨーロッパ鉄道時刻表ではTGVとタリスを区別して表記している。タリスの最

高時速はTGVと同じく300kmというが、ブラッセル〜アムステルダム間は、

距離と所要時間から推定すると300km仕様は完成していない。TGV仕様に

出来上がっているのはパリ〜ブラッセル間までらしい。

 

斯くしてタリスの到着するアムステルダム中央駅は市の北部水辺にある。時刻

表には Amsterdam CS と表記される。赤いレンガに白い線の入ったゴチック様式

の重厚な建物は、レンブラントの「夜警」を収蔵しているアムステルダム国立美

術館の建物と類似性がある。アムステルダムに限らず、パリでも駅は将来美術館

に転用出来るように設計されている。現にオルセー美術館はオルセー駅から転用

されたものである。なお、このアムステルダム中央駅は東京駅の丸の内側の設計

モデルになったと伝える説もある(否定説もある)。

 

スキポール空港はシティセンターに近くて便利である反面、近隣への騒音公害

問題を抱えている。今後の航空需要に合わせた拡張や増便は困難があろう。航空

覇権を狙うフランスは、KLMをM&Aでエールフランスの傘下に抑え、TGV

ネットワークを充実してベネルックスの航空旅客をパリ・シャルルドゴール空港

へゴッソリ引き寄せる魂胆である。

 

                              (つづく)